1.「皆と同じ」安心感

日本人は、「皆と同じ」行動をすることを良しとする傾向にあります。他人と違う行動をとることに心理的抵抗感がある。中には、外れた行動をとる人に対して批判的な眼を向ける組織も。このような同調圧力もあいまって、周りの皆と同じように毎朝毎晩通勤電車に身を委ねます。

別に全員が朝9時にオフィスに揃っている必要なんてないのに、自分だけいないと「ならず者」のように見られそうで怖い。考えてもみれば、いまの社会人の多くの人たちが幼稚園や小学校の頃から、周囲との調和を良しとする教育を受けてきています。無遅刻・無欠席の児童には「皆勤賞」のような名誉が与えられる文化も。すなわち、「皆やっているのだから当たり前」「毎日決まった時間に出社して当然」。この価値観が、幼少期から私たち日本人にビルトイン(埋め込み)されている。よっぽど周りの目を気にしない勇者か合理主義者でない限り、リモートワークなどの代替手段を使おうとしません。

2.「ラクすることは悪いこと」という「気合・根性」主義

「社会人たるもの、満員電車に耐えて通勤して当たり前」

このような、学生時代の部活に代表される「気合・根性」主義も根深いです。

どんなに理不尽な慣習であっても、「これ意味あるんですか?」と誰もが疑いたくなるような練習も耐えて当然。先輩たちが築いた文化は否定してはならない。

この気合・根性主義が、大雪の日も、台風接近が分かっている朝であっても駅の改札口に長い列を作り、いつ来るともわからない電車を待ち続けるメンタリティを育てます。

やっとのことで、オフィスに到着したのは昼過ぎ。それでも、「よくがんばった」「大変だったね」と職場の上長や仲間から褒め称えられる。一方、出社をあきらめて自宅でリモートワークをする、あるいは急遽有給休暇を取得した人への反応はきわめて冷ややか。

「あの人だけラクしてずるい」

ラクすることは悪いこと。この価値観も、満員電車からの健全な離脱を阻害します。その時間と労力、何の価値も生んでいないのにまったく困ったものです。