群馬県の吾妻木質バイオマス発電所。太陽光、地熱、バイオマス、風力といった再生可能なエネルギーサービスにも力を入れている。

自分の頭で考え続けるしかない

——物事の本質を見抜ける経営者になるにはどうしたらいいでしょうか。

【宮内】日々勉強し、考え続けるしかないでしょう。勉強といえば本を読むことがすぐに思い浮かぶでしょうが、それだけではありません。新聞や雑誌、信頼できるネット記事を読み込むこともいいでしょうが、人に会い、話を聞くのも立派な勉強です。同じ業界やビジネスに直結する人に会うだけでなく、さまざまな人に会って話をし、意識して人脈を広げることが大切です。そしてより重要なのは、インプットした情報を基に粘り強く、自分の頭で考えることです。

——考えるということでは、社外のコンサルタントや学者をブレーン化し、ことあるごとに相談する経営者もいます。

【宮内】知恵を借りたいという気持ちと、判断を間違ってはいけないという思いがあり、オリックスがまだ小さい時から、私も随分多くのコンサルタントにお世話になってきました。学者によるセミナーなどにも積極的に参加してきました。でも、彼らの存在はそれ以上でもそれ以下でもありません。

話は参考になりますし、得るところも多い。こちらの判断に対して「それは違う」と言われたら考え直すこともあります。ただ、主体はこちらにあり、決めるのは経営者自身です。「教えてください」という受け身の姿勢ばかりを取るのはやめたほうがいいでしょう。経営は経営であって、彼らはそれを横や斜めから見て、独自の理論やフレームワークをつくっている。その理論やフレームを聞いて、役に立つこともあれば自社には役に立たないこともあるということです。

——これまで目標にしてきた経営者がいたら教えてください。

【宮内】よく聞かれますが、特にはいないのです。誰かをお手本にするというよりも、いろいろなことを学びながら自身で考え、オリックスの経営に携わってきましたから。もちろん、パナソニック(松下電器産業)を作った松下幸之助さんなどは偉大な人物だと思っています。

(文=荻野 進介)