イエバエの力で、有機廃棄物をわずか1週間で高品質な有機肥料と飼料に100%リサイクル――。高い技術力が注目されるスタートアップ・ムスカを率いるのは社内最年少の女性だ。しかも大の虫嫌い。なぜ彼女は、創業者からのバトンを引き継いで社長になる決心がついたのか。

虫が苦手な20代女子がハエの会社の社長に

「人生はコンテンツ。ネタになればなるほど面白いじゃないですか」

柔らかい表情をたたえながら、凛とした口調で話すのは、ムスカ代表取締役CEOの流郷綾乃さんだ。

ムスカ代表取締役CEO 流郷綾乃さん

ムスカという社名は、イエバエの学名である「ムスカ・ドメスティカ」から付けられた。その名の通り、イエバエを利用してバイオマス100%リサイクルを実現したインセクト(昆虫)テックの会社だ。

ハエの会社の社長だというのに、実は虫が大の苦手という流郷さん。そんな会社の代表に就いているのも、「人生はコンテンツ」という、目の前の試練に対して常にポジティブに戦う彼女の強さのあらわれである。