SMBC日興証券で、創業101年目にして初の女性役員となった中村佳代さん。バリバリの営業ウーマンとして数々の実績を上げてきたが、実はキャリアを中断した時期もあるのだそう。転職や専業主婦を経て同社に復職した後、子育てとの完璧な両立を目指す中で起こしてしまった失敗とは?

精鋭が集まる花形部門のリーダー

20代にはいったん専業主婦の道を選び、30代は4人の子育てと仕事に奮闘、40代では管理職の職務に悩み続け、50歳で会社初の女性役員に。中村さんの軌跡をたどると、数人分の人生をギュッと詰め込んだような濃密さに驚く。「何事も経験してみなきゃわからないから」と、挑戦を繰り返すうちにこうなったそうだが、もともとはそんなスーパーウーマンを目指す気などなかった。

中村 佳代(なかむら・かよ)/SMBC日興証券 執行役員 プライベート・バンキング第三部長(写真=小林 久井)

「役員も遠い雲の上の存在だと思っていました。だから話をいただいた時は、私にできるんだろうかという不安しかありませんでしたね。社長にもそう伝えたら『今と同じようにできることを一つずつやっていけばいいんだよ』と言ってくださって。背中を押していただきました」

現在は、主に富裕層の資産管理を手がけるプライベート・バンキング部門の部長も兼務している。金融業界では花形とされる部門だ。中村さんは「目の前のことを一つずつやってきただけ」と謙遜するが、突出した成果を出し続けた営業ウーマンとして社内では、営業担当の女性なら憧れの存在だという。