コモディティ競争を抜け出し、推奨者・ファン顧客を獲得する手法

このように、顧客エピソードごとに見ていくと、どういったところに対処すればNPSが上がるのかが具体的に見えてきます。企業によって差が出るのは、そこからどのようなアクションを起こし、結果の実現まで至るかという点においてです。ベインが5年ほど前に行った調査によると、売上・利益成長につながる仕組みを構築し、継続しているという企業は9社に1社しかありませんでした。

NPSを活用できていない企業の悩みとして第一に挙がるのが、「批判者への対策はイメージしやすいが、推奨者・ファン顧客の増やし方が分からない」というものです。

それを考えるために弊社で提案しているのが「顧客がほしいと思う価値要素」の分析です。図表12はマズローの欲求段階説を拡張したもので、いちばん下が機能的価値です。モノやサービスが期待された機能や効果を発揮するかどうか、という部分です。その次にくるのが感情的価値です。モノやサービスを使って癒されたり満足感を得たりする段階です。さらにその次が人生を変える価値です。モチベーションや希望がわくといったことにつながるモノやサービスということです。そして一番上にくるのが社会的なインパクトです。

顧客がほしいと思う30の価値要素

ここに特定された価値要素を数多く満たすことにより、NPSが大きく伸びることが過去の実証でわかっています。ただ、サブスクリプションビジネスと従来型ビジネスでは、顕著な違いがあります。生鮮配送サービスと従来型小売を比べた場合、スーパーは「安い(コスト削減)」「品揃えがいい(バラエティ)」「いいものである(品質)」といったところ、つまり機能的要素が最も需要ですが、生鮮配送の場合は、もう一段上の感情的要素、たとえば「健康」「自分へのご褒美」「本物感」といったものが大事になってきます。言い換えると、こうした要素がそろっていれば推奨者が生まれやすい。動画配信や家計簿アプリの場合は、さらに上位の「自己実現」や「モチベーション」といった価値も重視されているということがわかりました。

推奨につながる要素