そうしたところまで掘り下げてみていくと、個別のタッチポイントからは見えてこない顧客の真実が見えてきます。図表9は、サブスクリプションサービスにおいて、批判者を生み出しやすい確率を縦軸で、推奨者を生み出しやすい確率を横軸であらわしたものです。この座標軸にエピソードNPSをマッピングしてみると、「利用再開」「トラブル対応」は、推奨にも批判にも大きく振れるポイントであることがわかります。

エピソードごとにNPSを取って、それぞれどういう水準にいるかという分析をすると、何に優先的に取り組むべきかが浮かび上がってきます。例えばNetflixは、どのエピソードでも非常に高いNPSの水準を保っていますが、サービスのダウングレード(アップグレードに対して)への対応については改善の余地あり、というようなことが今回のサーベイからはわかります。

エピソードの優先順位
サブスクリプションサービスにおけるエピソードNPS

無料体験とその後の継続率

また、少し細かくなりますが、配信型のサブスクリプションサービスに関して、利用開始時のエピソードのNPSからもうひとつ興味深いことがわかりました。無料のプランから有料のプランへ移行する人の約40%が利用開始後から1カ月目くらいに決めており、約80%が1年以内に決めています。当然ですが、利用頻度が高い人ほど効率が高い。一方で、無料体験のときに満足度が高すぎると有料プランに移行しないのではということも考えられます。しかし、実際は無料体験のときのNPSが高いほど有料に移行する比率も高いとういことがわかりました。また、利用開始時のNPSが低いとその後の継続率も低いという結果も出ています。