朝の1時間をリモートワークに

「上の子が中学受験をしたとき、9時から4時までの短い勤務でした。仕事をしていたおかげで、子どもの受験ばかりにとらわれることがなく良いバランスを取ることができました。今は、朝の1時間をリモートワークにしているので、子どもたちを学校に送り出してから出勤。帰りも下の子が学童保育から帰る時間に帰宅でき、安心して仕事ができます。また、夜に飲み会があるときはちょっと長めに仕事をするなど、1カ月の総労働時間で調整しています」

不安なことがあると仕事に支障が出てしまう。それならばちゃんと休んだほうがパフォーマンスが落ちなくていい、と考えるのはメディア事業開発マネジャーの岑(みね)康貴さん(入社4年目・35歳)だ。

メディア事業開発 マネジャー
岑 康貴さん

「会社にはいろいろな事情の人がいます。子育てや介護以外に、持病があったり、一時的にメンタルに不調が出てきたり……。失恋すると、本当に生産性が下がるので休んだほうがいい(笑)。程度はさまざまですが、そういうワケありを特別だと思わず、“当たり前”だと受けとめたい。100%は無理だとしても、社員皆で努力して受けとめることが理想だと思っています」

岑さんは、部下の人生に寄り添うこともマネジャーの役割だと語る。彼らの人生を背負うことはできないが、キャリアや成長を見守ることも職務の1つであると心がけている。

「僕は独身なので子育てのことはわからないんですけど、わからないなりに理解したい。だから、何かあれば相談してほしいと思います。もし自分も結婚して子どもができれば、子育て社員と共有した経験がきっと活きてくるので無駄にならないでしょう。そもそもスマートニュースのアプリは幅広い年代の男女に使ってほしいもの。それを提供する側も、性別、年齢、国籍を問わず、多様な人間がいたほうがいいのです」

とはいえ、社員の個々の事情を受けとめるのは言葉では簡単だが、意外に難しい。実行できているのか?

「会社として、その仕組みはできつつあると思います」と田尻さん。例えば社内のコミュニケーションツールとして使用しているSlackと呼ばれるチャットアプリをうまく利用する手もあり。業務内容、チーム、話題によって“部屋”を分けることができ、会話の検索機能もついているので、必要な情報をいつでも引き出せる。

その“部屋”の1つに、子どもを持つお父さん・お母さん社員だけが入れる「ファミリー」と呼ばれるチャットルームがある。

「初めて子どもを飛行機に乗せたとき『子どもの“耳抜き”ってどうすればいいですか?』と質問してみました。そういう小さなことでも、社員の人たちと共有できると安心できますよね」と田尻さん。