個人の能力や意見を大切にしてくれる社風

子育てはいつか山場も越えて終わりがくるが、介護には“終わり”が見えない。祖母の介護を経験したのが、PR&マーケティング担当の谷本尚子さん(入社3年目・39歳)。

PR&マーケティング・アソシエイト 谷本尚子さん

「以前、仕事をしながら介護を手伝っていたので、両立の難しさが身にしみています。深夜まで働いて、翌朝早く起きてオムツ交換や食事を手伝うのはとても大変でした……。スマートニュースは大変なときは遠慮なく休んでいい。その代わり、誰かがフォローする体制になっています。こちらに転職してしばらくはPR業務を私1人でやっていたのですが、何かあれば上司が代行してくれます。困っている社員に親身になってくれるのは、わが社の体質なんだと思います」

社風が自由で温かいせいか、多忙を極める毎日でもストレスが全くないと谷本さんは笑う。彼女が在籍していたとある企業は、「~のときは~しなければいけない」というルールにがんじがらめになっていたそう。

「それに比べると今の会社は“A=Aだけではなく、Bかもしれないし、Cかもしれない”と物事を柔軟に受け入れられるのです」

さらには上の人間と下の人間の隔てが少ない。例えば社長に「こんなアイデアがあるんですが、どう思いますか?」といったことが立ち話ベースでできる。個の能力や意見を大事にするのも、社員数150人、スタートアップ企業の良いところだ。

社員が増えるほど“個人”が薄れていく

会社の成長に伴い社員を増やしているが、新たな課題が出てきている。マーケティング担当執行役員の西口一希さん(入社3年目・52歳)はロクシタンジャポンの代表取締役を経て、17年にスマートニュースに参画。「僕が入社したころより社員が増えて倍の人数になっています。個人の特性、強み、やりたいことが見えづらくなっている。個性や得意・不得意を理解したうえで仕事をしないと、組織全体のパフォーマンスが落ちる可能性もあるのです。だから、課題は常に抱えていますね」

執行役員 マーケティング担当
西口一希さん

現在、成長に伴う不具合は出ているが、テクノロジーの進化がそれを乗り越える日はそう遠くない未来にやって来るかもしれない。西口さんが考える未来の職場像は、前述の田尻さんの希望する週3日勤務どころか、現状のオフィスと同様に仕事ができるバーチャル(仮想空間)な環境だ。

「バーチャルで働くためのテクノロジーはどんどん充実してきています。これらを活用すれば、いつどこにいても、やるべきこと、伝えるべきこと、やってもらうべきことを把握したうえで仕事が進められます。社員が何人いても、すべてがデータベース化されているので、顔を合わせてなくてもお互いのことを知り、能力を引き出すことができる。それは遠くない将来に常識になるでしょうし、やらなくてはいけなくなるでしょう」