夏バテ防止には、栄養を摂り、ストレッチで体幹を鍛えよう

「タイプ別・夏バテの原因」

この時期は疲れが心身に影響を及ぼし、夏バテする人が目立つ時期です。

特に、一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、暑さにより常に交感神経が亢進(こうしん)しており、自律神経の調節がうまく行えていません。そのため、カラダにブレーキをかけるストレッチが大切です。生活リズムが乱れることによっておこる生活習慣タイプの人は、栄養のバランスがくずれ、栄養が吸収されていない状態です。栄養価が高い食べ物を多く取るようにしましょう。

年齢による加齢タイプの人は、夏の疲れにより体力が落ち気味です。体幹トレーニングなどで体の中心部の筋力をつけることが大切です。

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「タイプ別:夏バテの対処法」

頑張り屋さんタイプの人は、体幹部のストレッチが大切です。椅子に座ったまま、カラダを丸めるようにすることで背中を伸ばしたり、首を前に倒すことで後頭部を伸ばしたりなど、簡単なストレッチをしてみましょう。また、耳はリラックスに関係が深い副交感神経を刺激できることから、耳をいろいろな方向に引っ張ることでカラダがリラックスすることも知られています(図表1)。時間がないときは耳のストレッチだけを行ってもいいでしょう。

耳を斜め上の方向へ広げるように引っ張り、しばらくそのままに。真横、斜め下と各同様に行う。

生活習慣タイプの人は、栄養価の高い食べ物が摂ることが大切です。この時期に旬を迎えるシジミをはじめ、オクラや山芋、ナメコなど、ねばねばしているものを食べるのも効果的。ねばねばした成分には、食物の消化吸収を助ける役割があるだけでなく、胃壁を保護したり、肝機能を高めたりする役割があります。

加齢タイプの人は体幹を鍛えることをお勧めします。隙間時間に腕と両足の4点だけで支えるプランクや、ヒジから下と腕だけで支えるサイドブリッジ、両肩とかかとの4点で支えるバックブリッジなどを1日10〜20回程度行うことで体幹部の筋肉を鍛えるようにしましょう(図表2、3、4)。

ブランク
サイドブリッジ
バックブリッジ

立秋は、秋のはじまりです。季節は夏のように感じても、ツユ草や樹雨など秋の気配が確実に迫っています。同じように、カラダも夏から秋に向かう準備を進めていきます。しかし、夏バテなどカラダに疲れがたまると、秋の準備が十分できずに、カラダだけでなくココロの調子までくずす原因となります。

そうならないためにも、この時期は栄養価の高い食事を心がけ、体力をつけると同時に、朝晩の過ごしやすい時間には散歩などの軽い運動を行いましょう。体力をつけることでココロを変化させ、これから来る秋や冬への準備も少しずつ行うようにしましょう。

「立秋の特徴」

●心身の症状
カラダ:自律神経機能の低下、冷え、内臓不調、疲れ
ココロ:気分が落ち込む、やる気が出ない

●季節に多い症状
夏バテ

●心身の養生法
ストレッチ、散歩

●食養生に効く食材
シジミなど、栄養価の高い食べ物

●ツボ
中かん

写真=iStock.com

伊藤 和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授

鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。同大学附属鍼灸センター長。トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。