自分が稼ぐだけじゃ満足できない! 1億人に経済的自立を

金融業界でキャリアを重ね、20代で1千万円プレーヤーとなったが、起業家へと転身したアンナ・ハオタントさん。転身のきっかけは、大学時代に金融機関でインターンをした経験だ。

(写真左)アンナ・ハオタントさん。自宅で1人暮らし。(同右上)デスクには大切な家族と友人の写真。(同右下)読書は経営や金融などのビジネス書が中心だ。建国の父、リー・クアンユーも尊敬する人物。

「そこではお金がお金を生むことを学びました。たとえば銀行は安く調達した資金を投資して、高くなったら売却して利益を得るなど。真面目に働いても得られる収入は限られていますが、正しく投資をすれば、お金がお金を給与以上に増やしてくれることを知りました」

インターン後、21歳から株式投資を始め、29歳のときに資産は100万ドル(約1億円)を超え、若き女性ミリオネアとしてメディアでも取り上げられるようになった。

「でも、単にお金を稼ぐだけでは満足できない自分に気づきました。そこで、若い女性にお金の仕組みを伝えようと思ったのです」

その根底には、お金の仕組みを知ったときの驚きが忘れられず、もっと早く知りたかったと悔やんだ経緯がある。そこで2015年に金融ウェブメディア『The New Savvy』を立ち上げると、瞬く間に人気に。シンガポールに女性向けの同様のメディアがなかったことも追い風となった。ミッションは1億人の女性をお金の不安から解放し、彼女たちが今より幸せになるのを応援すること。メディア運営のほか、定期的に読者とつながるイベントを企画している。「学生を対象としたイベントで、参加者の女子学生から『人生が変わった!』と言われたときは体が震えるほどうれしかったです」

現在はシンガポール、香港、インド、フィリピンの4カ国で運営を展開しているが、今後もっと多くの国に広げたいという希望がある。

起業したばかりなので、フリータイムはほとんどない。朝からミーティングの連続、夜中まで仕事のことを考える。「アイスクリームが好き」と女子っぽい部分をのぞかせるが、現在は仕事に没頭する毎日だ。

好きな言葉の「If you going to dance, make the world spin(ただ踊るより世界を踊らせよう)」のとおり、持ち前のリーダーシップでアジアの女性たちを輝かせている。

▼1日のスケジュール
7:30 起床。さゆを飲んでエクササイズ。
9:00 出社。
10:00 投資家とミーティング。
12:00 昼食。
13:00 クライアントとミーティング。
14:30 別のクライアントとミーティング。
16:00 社内チームとミーティング。
17:30 別のチームとミーティング。
19:00 女性向けイベントを開催。
21:00 帰宅。
22:30 メール・パソコン業務。
1:00 就寝。遅いときは2時か3時になる。
▼my favorite
●好きな映画→グレッグ・キニア主演『リトル・ミス・サンシャイン』 ●愛読書→レイ・ダリオ著『Principles
アンナ・ハオタント(Anna Haotant)
金融メディア経営
1984年、シンガポール生まれ。シンガポール経営大学卒業後、金融機関などを経て、2015年に起業。テレビ番組のホステスを務めるなど、国内を代表する若手女性起業家。

撮影=フエルメウレン真由子