賢い女性の印象管理はヘア、メイク、スーツの三位一体で完成
しかしながら、きちんと感やマナーばかりに気をとられて、まるでリクルートスーツのような着こなしになってしまっては本末転倒。仕事の現場にふさわしく、管理職としての装いを体現するプロのテクニックを具体的に見ていこう。
「ピアスやネックレスなど、顔周りのジュエリーはシンプルに。その代わり、時計やブレスレットで主張のある手元に仕上げるのがコツ。品よく映えつつも、20代前半の頃とは違う、いい意味での貫禄や落ちつき感が出ます」と戸野塚さんは説明する。好感を与えつつも、大人の余裕を感じさせるラグジュアリー感を意識するのがポイントのようだ。
では、ファッション同様に気になるメイクはどうだろうか?
「眉が整っている、目の際のラインが美しい、リップが丁寧に塗られている。これだけで、きちんとした印象を与えます。逆に濃いリップ、強いチークなど、1カ所に突出したメイクは仕事のシーンではふさわしくありません。髪と肌には自然なツヤが不可欠ですね。6秒で決まるといわれている人の印象は、ほとんどが顔周りで決まります」
さらに千吉良さんはこう続ける。「メイクが雑だと、仕事も雑な印象を与えます。仕事では、細やかさと、全体を俯瞰(ふかん)で見ることがともに大切なように、メイクでもミクロとマクロ、両方の目を持てる人に、実際“仕事ができる人”が多いですね」
ファッションやメイクなど、その人の外見の印象と内面とは分けて考えがちだが、もしかするとそれらは深いところでつながっているものなのかもしれない。さしずめ“外見は内面のいちばん外側”といったところだろうか。
何から手をつけたらいいのかわからない、どうすれば今のスーツスタイルが素敵になるかがわからない、という一部のおしゃれ迷子に、高橋さんから具体的な服選びのアドバイスをいただいた。
「たとえばテーラードのパンツスーツを着て、なんだかアカ抜けないなぁと思うのなら、ジャケットをVネックのノーカラーに変えてみるとか。単純なことですが、今持っているものの延長線上にあるアイテムを少し取り入れるだけで、印象はグッと洗練されます」。この理論にはスタイリストの戸野塚さんも同意見だ。
「スーツは堅い印象が長所でもある。そのきちんと感をキープしつつ、インナーをとろみのあるブラウスに変えただけで、女性ならではの柔らかな奥行き感が出ますよ」
最後に、千吉良さんはこう語る。
「印象管理はヘア、メイク、ファッションの三位一体で完成するもの。ときには自分自身を客観視して、仕事の成果を後押ししてくれるような、賢い印象管理を心がけていただきたいですね」
※PW=プレジデント ウーマン