的確なスーツ選びは、仕事の自信につながる
「印象管理」について、実践的なファッションアプローチがわかったところで、PWリーダーズたちが選ぶべきスーツの価格について考えてみたい。イメージングディレクターの高橋みどりさんにうかがってみた。
「PW世代が着るスーツは、自分を応援してくれるものであると同時に、周りと調和していることも大切。奇をてらわずに、身の丈に合うものを選ぶことが重要です」
では具体的に“身の丈に合う”とは、どんなスーツのことだろう?
「わかりやすいのが、収入に見合った価格のスーツであるということ。素敵に見せよう、品よく見せようと、高価なブランドスーツを背伸びして着るのは、本人と着こなしがどこかちぐはぐで、仕事相手に不安感を与えてしまいます。月収の20%をスーツに、さらにその50%をバッグに、20%をインナーに……と考えると、今の自分が着るべきスーツの適正価格が明確になりますよ」
たとえば、年収が600万円の人だとすると、月収は約50万円。その20%だから、スーツの適正価格は約10万円というわけだ。となるとバッグは5万円前後、インナーは2万円ほど。たしかにわかりやすい。
「会社は“おしゃれな着こなし”をアピールする場ではありません。取り組んでいる仕事に対し、自分がどんな立場にあるか、また、どういう役回りであるのかをきちんと自覚したうえで、TPOを考えた装いをするのが基本中の基本。収入に対する割合をひとつの目安にしておくことで、役職が変わったときにも、スーツの装いを無理なくアップグレードできるというわけです」
値段が見えずとも、装いは信頼感として相手に伝わる
一方で、安価でもそれなりに見えるデザインがあふれる今の時代。オーダースーツもかなり気軽にできてしまうが……。
「管理職の立場の皆さんならご存じだと思いますが、役職が上がると出会う人や行く場所が変わりますよね? たとえば会食や接待のようなラグジュアリーな場所で、いくらオーダーでも安すぎるスーツは相手に失礼かもしれません。値段そのものは目に見えなくても……もしくはジャケットのタグを直接確認しなくても、“その人にふさわしくない装い”を、他人はなんとなく感じ取ってしまうもの。あなたのセンスや仕事への熱意が形になったものがスーツの着こなし。そこには誠意や信頼感が宿るのです」