国民年金保険料の滞納、放置は厳禁
厚生年金保険は保険料の半分を会社が負担、もう半分は給料から天引きして会社が納付してくれるが、国民年金加入では自身で保険料を支払う。
未払いがあると、老後に受け取る年金の額に影響するし、重い障害を負った場合に支給される『障害年金』や、死亡の際、遺族に支給される『遺族年金』が受け取れなくなる可能性もあるなど、リスクが大きい。漏れなく手続きをし、確実に保険料を支払おう。
万一、収入がなくて支払いが難しいといった場合も、放置するのは厳禁だ。収入が減って納付が難しいなど、一定の要件を満たせば保険料が免除される制度や、納付が猶予される制度もある(納付猶予制度は50歳未満が対象)。免除制度では、全額、4分の3、半額、4分の1のいずれかが免除される。
保険料免除制度、納付猶予制度を利用すれば、保険料を払っていない(一部しか払っていない)状態でも、年金が支給されるかどうかを判定するための『受給資格期間』に算入される。放っておけば未加入だが、きちんと手続きすれば、未加入は避けられる。
将来受け取る老齢基礎年金(国民年金部分)の額は加入期間(保険料を支払った期間)によって金額が決まるが、保険料が免除された期間の分も、一部が年金額に反映される(納付猶予の期間分は、年金額には反映されない)。これも、放置するのとは雲泥の差だ。
仕事を持っている人にはピンとこないかも知れないが、収入が減る可能性が絶対にないとは言い切れない。手続きをせずに未加入にしておくのはデメリットが多いので、手続きは怠らないように気を付けよう。
企業年金はiDeCoに切り替えなど
多くの会社には、企業年金の制度がある。転職する場合、企業年金がどうなるかも要チェックだ。
例えば「企業型確定拠出年金(企業型DC)」は、企業が従業員のために毎月、資金を拠出し、それを運用して、将来、一時金や年金として受け取る制度である。運用にどの商品を使うかは従業員自身が選択することになっており、預金などの元本確保型の商品や、投資信託など、用意された複数の商品から自由に選ぶことができる。運用で得た利益が非課税になるなどの税メリットがある。
企業型DCは、転職すると加入資格が失われるため、一定の手続きが必要になる。
まず転職先の企業が、転職前に加入していた企業型DCの受け入れを可能としている場合には、元の会社で積み立てた資産を移換することができる。ただし、現金での移換となるため、投資信託で運用していた分は売って現金化する必要がある。値上がりしているタイミングならいいが、値下がりしているタイミングで売れば、残念ながら損益が確定してしまうことになる。
移換したあとは、転職先で用意している商品から、再度、利用する投資信託などを選んで運用する。