手続きが遅れるとデメリットが多い

移換手続きは加入者資格を失ってから6カ月以内に行う必要がある(7月1日退職では、2日に資格失効し、8月から6カ月以内の翌年1月末が期限)。期限を過ぎると、年金の資産は自動的に別の場所に移換される。転職先に企業型DCがあればそこへ、そうでないなら国民年金基金連合会の仮預かり口座に自動移換される。

仮預かり口座では管理手数料が発生するものの、資産の運用はできず、資産は寝たまま。また企業型DCやiDeCoは、10年以上加入すれば60歳から受け取れるが、仮預かり口座にある間は加入期間に算入されず、年金の受取開始時期が遅れる可能性もある。転職する場合は早めに、確実に、手続きすることが大切だ。

DC以外の企業年金は?

企業の年金制度には、企業型DCのほか、『確定給付企業年金』や『厚生年金基金』などがある。退職時にはこれらを退職金として受け取るのが一般的だが、場合によっては退職金を受け取らず、転職先の企業型DCへ資産を移換することもできる。

退職金を受け取るより老後に向けて運用したいといった場合には、企業型DCに移換して運用するのもいい。企業型DCやiDeCoでは運用で得た利益が非課税になるので、自身で普通に投資するより有利だ。

いずれの場合も、転職前に、元の会社、転職先それぞれに、どんな選択肢があるか、どんな手続きが必要かを確認することが重要となる。ケースによって異なるので、以下も参考にして欲しい(国民年金基金連合会のホームページより)。

自営やフリーランスはiDeCoを検討

フリーランスになる場合は、企業型DC(企業型確定拠出年金)には加入できないが、新たに個人型確定拠出年金(iDeCo)をはじめ、そこに企業型DCの資産を移換することができる。

企業型DCでは口座管理手数料などのコストを企業が負担しているが、iDeCoでは自身が負担することになるので、手数料や買いたい商品の有無、サービスなどを比較して選びたい。

ちなみに、自営やフリーランスから企業に就職するといった場合は、iDeCoを続ける。あるいは、iDeCoの資産を企業型DCに移換するなどの選択肢がある。企業に確認し、しっかり検討しよう。

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