職種転換が狙える業界は?

もちろん、ベンチャー・スタートアップ企業は先述したメリットだけでなく、デメリットも併せ持っています。「先行きが不安」「なんとなく……」などという理由で特に大手企業出身の女性には敬遠されがちです。しかし、決してすべてが不安定というわけではない。将来性のある企業もたくさんあるので、そういった企業をしっかりと自分の目で見極めることが大事です。見極め方については、また別の機会に詳しく話をしたいと思います。

また、転職を機に職種を変えたいと考える人は、ITや医療業界、ベンチャー・スタートアップ企業が狙い目です。正直な話、35歳以上の転職では即戦力になることが求められるので、未経験職種へのチャレンジはかなりハードルが高いと思います。とはいえ、経済環境の変化に伴い、さまざまな企業が異分野に進出する動きが加速。新しい業界や企業にはプロが少ないため、異分野での経験を持つ人を求める求人も増えています。つまり、職種チェンジができる可能性がまったくないわけではない。人によっては、年収アップも期待できるかもしれません。実際に大企業からベンチャー・スタートアップに転職して、キャリアアップ、年収アップしている女性が多数います。スキル・キャリアの転用の幅は広がっているので、転職の成功はこれまでの経験をいかにうまくアピールできるかにかかっています。

高野秀敏(たかの・ひでとし)
新卒でインテリジェンスへ入社。その後、2005年にキープレイヤーズを設立し、人材エージェントとして30社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内、シリコンバレー、バングラデシュで実行。3000名以上の経営者の相談と、1万名以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。マネージャーとして、キャリアコンサルタントチームを運営・教育。人事部採用担当として、数百人の学生、社会人と面談。学校や学生団体での講演回数100回以上。

構成=福田 彩 写真=iStock.com