男は「達成」のプレッシャーで感覚がおかしくなる
よく男女平等の話題で北欧が取り上げられますが、実際に会って話をすると、男性でも仕事より自分たちの生活を大切にしている印象があります。日本では考えられません。日本ではいまだに競争して勝つのが男として正しい。出世していくことが男の価値なのだと教えられます。
現在、小学生の中学受験熱が高まっているのは、親が中高一貫校を経て有名な大学に入らせたいから。それはなぜかというと、有名大学から一流企業に入り、一家の大黒柱として家庭を支えるためです。男性はそういう「達成」のプレッシャーを受けながら育っているので、医大の入試で男子受験生が有利になる不正が起きた際も、不正があってはいけないと考えるよりも男性優位の状況をむしろラッキーと思う男子だって少なからずいたはずです。同じような構造は会社にもあるのではないでしょうか。
これから先、何十年も働いていくことを考えたとき、女性が管理職になることで波風が立つような会社なら、転職を考えてもいいと思います。自分の働く企業の文化や風土、女性管理職がいても大丈夫な環境かどうかを見極めることが大事ですね。
女性の実力を示すと同時に声を挙げて
それでも偏見の残る会社でやっていきたいと思うならば、男性になめられないように黙々と働いていくしかない。目の前の仕事を着実にこなして「女性は管理職に向いていない」というイメージに対し、それが単なる偏見であることを示すことだと思います。大学などの試験でも平等に実施すれば女性のほうが平均値は高いわけですから、結果はついてくるはずなのです。同時に、男社会に対して、前出の建前と本音の話もそうですが「こういうところに矛盾を感じる」と声を挙げていくことも大事です。残念ながら、そういう会社では、声を挙げないと、問題があるとすら思っていない人が主流だからです。
構成=小田慶子 写真=iStock.com