おじさんたちは女性観をアップデートせよ

ただ、社会学で用いるAPC効果の「加齢(aging)」「時代(period)」「世代(cohort)」で考えると、男性たちがそう言ってしまう「時代」の背景はあります。今の50代、60代男性にしてみれば、実際にこれまで女性たちは結婚、妊娠、出産で会社を辞めてきたわけです。自分の妻も結婚を機に会社を辞めたし、同期の女性たちも退職していった。そして、部下の女性もこれまではどんどんいなくなっていった。その経験から「女の人って結局、会社を辞めるんでしょ」と理解している。その認識と会社に在籍している女性たちがどう働きたいかということのギャップが大きいわけです。「男は仕事、女は家庭」でやってきた世代と、これからの時代を担っていく30代とではお互いの常識が通用しません。だからこそ、年配の男性たちに「これからの時代」は違うということを理解してもらわなければいけないのです。

男性の育児休業取得率が低いのにも同じ構造が

よく「本音と建前」と言いますが、企業も建前上は「女性もどんどん管理職になって活躍して」と言います。しかし、社員の本音と職場の現状は違っているのです。その結果が、冒頭の女性管理職比率の数値に出ています。それは男性のケースでも起きていて、例えば、会社が男性社員に建前上「育児休暇を取っていいですよ」と言っても、実際の取得率は7.5%(図表2)。その建前をまともに受け止めて育児休業をした男性は、復帰後、地方に飛ばされたり閑職に回されたりしたという実例も聞きます。現在は晩婚化が進んでいるので、子育てに入るのは30代に入ってから。ちょうど仕事が忙しく、責任が出てくる時期と重なってしまうので、長い休暇を取ると評価に影響してしまう。上司の「本音」をうかがって、男性が育児休業をためらうのも無理はありません。

出典=厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査」