返還から約45年間、賃料は安定して上昇

今、沖縄県の米軍基地内の土地に投資する人が増えています。ご存じない方は、まず「そんなものが売買されているのか!?」というところに驚かれるかもしれません。

写真=iStock.com/Videowok_art

米軍基地は戦後、米軍が進駐してきて強制的に接収したものです。そこにはもともと地主がいたわけで、その人たちへの補償として日本政府から毎年借地料が支払われているのです。

借地料は毎年防衛省と地主組織が交渉によって決めていますが、前年度の借地料+αが次年度以降の算定ベースになります。交渉といっても難航することはなく、1972年の沖縄返還以降約45年間、平均5%程度で値上がりが続いています。

逆に不動産バブルがあっても上昇率はこの程度で、大儲けができるものでもありません。しかし、国が約束して確実に賃料が支払われ、評価額も安定的に右肩上がりの資産というのは他に類を見ないのではないでしょうか?

そのような資産をなぜ手放す人がいるのか!? 相続税を払うためとか、事業資金が必要になったとか、事情は人それぞれです。沖縄に来ると、不動産業者が「軍用地あります」の立て看板を出していたり、新聞に3行広告を載せていたりします。

ただ、最近は人気が高まり、売り物が出たらすぐに買われてしまいます。国も譲渡所得特別控除で優遇を図りつつ買い取りを進めていますが、国家予算からの支出なので申請から現金が振り込まれるまで2年以上を要します。対して、民間に売った場合は所得税等約20%の課税対象となるものの、約2週間で現金が振り込まれます。この流動性の高さも軍用地投資の魅力です。

最低300万円台から県外在住でも買える

最低300万円台から買えますが、最も出回っているのは1000万円台。沖縄の地銀ならローンを組むことも可能です。県外在住の人でも不動産仲介業者のメルマガに登録すれば売り物の情報を得ることができ、先着順で購入できます。沖縄に旅行で来た際に、不動産業者を訪ねて顔つなぎをしておくのもアリです。

ほぼ唯一とも言えるリスクは将来の基地返還ですが、普天間飛行場の例を見てもわかるように、実際に返還されるまでには相当の年月がかかります。また、県南部の基地であれば返還後に開発され、逆に資産価値が高まる可能性が大です。

仲里桂一
軍用地投資コンサルタント
L&Sコンサルティング代表取締役。元防衛省職員。著書に里中一人名義の『お金持ちはこっそり始めている本当は教えたくない!「軍用地投資」入門』(すばる舎)、来春に扶桑社より新刊を発売予定。