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好き嫌いで決まる評価、納得できない給料

(3)人事評価がずさん

色々な中小企業を観察していると、個人のスキルと職位は必ずしもリンクしないことに気がつく。とくに管理職では、そういった傾向が強い。中小企業では、どれほど立派な人事評価を入れたとしても、最終的には社長の好き嫌いで評価されてしまう。つまり職位の判断では、能力や結果という客観的要素ではなく、社長の評価という極めて主観的要素が占める割合が高くなってしまう傾向がある。それがいいとか悪いというものではなく、そういうものだということだ。

たとえば、人手不足の昨今において、部下を育てることができる人は、まさに逸材だ。本人の営業成績は奮わなくても、部下が成長して数字をあげていけば会社への貢献度は高い。だが育成能力といったものは、数字で表現することはなかなか容易ではない。数字で表現できないと、社長としても意識が向かない。どうしても社長の発想は、損益計算書の売上欄に向かってしまうからだ。

だからこそ部下の育成はできなくても、営業数字をもってくる者を「優秀な人材」と評価して管理職にしてしまう傾向がある。自分の失敗をうまく部下などの責任に転嫁できる人ほど評価されてしまうことすらある。そんな状況だと誰も部下として付き合うことができない。

そもそも営業が上手だからといって、管理職として優秀とは限らない。個人の営業能力と教える能力はまったく別物である。営業の得意な人は、もともと営業が性格的に合っているところがあるから、「こうしたらうまくいく」という体系的な発想をもっていない。だから自分のノウハウを教えることができない。仮に体系的な発想をもっていたとしても、自分の価値が下がることを危惧してあえて他人に教えないこともある。社長は、数字だけで管理職を評価するべきではない。

(4)給料が仕事に見合わない

管理職の賃金についても考えないといけない。一般的に、入社してすぐに管理職につくことはない。段階を踏んで年齢を重ねてから管理職になっていく。管理職につくころには、プライベートでもカネのかかる時期になる。住宅ローンの支払いもあれば子供の教育費もかかる。夫婦共働きが一般化しつつあるといえども、やはり日々の暮らしをまかなっていくことは容易ではない。社員には、「管理職になって家族を幸せにしたい」と動機づけたいものだ。

だが現実は必ずしもそうではない。むしろ管理職になったばかりに、残業代が出なくなって手取りが減ったという話すら聞いたことがある。これは労働基準法が管理監督者を割増賃金の対象にしていないためだ。だが、名ばかりでも管理職が割増賃金の対象にならないというのは、あまりにもおかしい。これが争われたのが、いわゆるマクドナルド事件といわれるものだ。店長が割増賃金の対象にならない管理監督者に該当するかが争われた事案だ。裁判所は、具体的な要素を挙げて管理監督者に該当しないと判断した。つまり会社に対し、未払い賃金の支払いを命じた。

このように、「とりあえず管理職だから残業代なし」とはならない。労働時間の規制が厳しく言われる昨今だからこそ、自社の状況を専門家に聞いて確認していただきたい。

さらに残業代に限らず、管理職に対して業務に見合った賃金を支払っているかについても再考していただきたい。業務量が一気に増えるのに管理職手当がいくばくか増えるだけというのでは、なかなか納得することは難しい。「仕事のやりがいはカネではない」と社長は考えるかもしれないが、社員としてはカネがなければ暮らしていけない。カネがなければやりがいを感じても、転職せざるを得ない。さりとて限られた資金で経営している中小企業にとっては、管理職だからといって賃金をいきなりぐっと増やすことはできないだろう。そこで社長としては、せめて何を達成すれば評価していくかについて説明をしていくべきだろう。評価の指針がなければ、努力しようもないからだ。

管理職がしっかりしていれば、会社は回る

社長は、とかく管理職を自分の側近であり、阿吽の呼吸でわかりあえると誤解している。管理職といえども、社員の一人だ。きちんと向き合い理解する姿勢を示さなければ、「なぜ辞めていく」ということになる。中間が無くなると組織は一気に崩れてしまう。

管理職がしっかりしているところは、社長が不在でも会社が回る。ぜひ自分がいなくても会社が回るような組織を管理職も含めて作り上げていただきたい。