さまざまなワークスペースで、多様な働き方をサポート

CBREは14年4月、東京・丸の内にある32階建てビルへの東京本社移転に伴い、ワークスペースを大幅に変更した。固定席がないという点ではフリーアドレスに近いが、中身はまったく違う。広大なフロアには大テーブル型の席をはじめ、PCモニター付きデスク、作業に集中するための個室ブース型、カフェ風テーブル席、スタンディング型など、さまざまな形態の席が用意されている。会議スペースもガラス張りや、壁一面がホワイトボードの部屋、モニター付きソファ型、立って打ち合わせができるハイテーブル型など多種多様。用途や内容に合わせて自由に選べる。そのほか、昼寝ができる仮眠スペースや、子育て中の女性のための搾乳室。シャワー室まである。

(左)代表取締役社長兼CEO 坂口英治さん(右)ワークプレイス・ストラテジー部 シニアディレクター 金子千夏(ちなつ)さん

驚いたのはフロアの真ん中にある本格ニュージーランドコーヒーが楽しめるカフェ。ランチや息抜きはもちろん、打ち合わせにも使えるほか、夕方になると酒類も提供され、ちょっとした職場のパーティーも開催可能だ。

オフィスの設計を担当したワークプレイス・ストラテジー部シニアディレクターの金子千夏さんは改革の狙いについてこう語る。

「CBREのブランドの確立、つまり知名度を上げたいという思いが強くありました。まず丸の内に移転し、当社が日本にコミットしているというメッセージを伝えること。さらに我々には専門の知識とノウハウを持つ多くの事業部門があり、会社としては各事業部門が連携して、総合的なサービスをお客様に提供していくことをめざしています。部門を超えたコラボレーションを実現するには、まずはお互いがどんな仕事をしているのかを知る必要があり、それを促進するためにオープンなワークプレイスをつくる。そして何より社員一人一人が自発的に動いて案件の情報を取りにいくような主体的な働き方が求められる。それを促すのがABWなのです」

ABWには徹底したIT化によるペーパーレスの実現が不可欠。どの席に座っても紙に頼らず情報をシェアできる効率的な環境づくりにも注力したという。