子どもがおなかの中にいるときはまだ自由に動けた。出産でお世話になる病院は会社の目の前にあった。出産時に必要なものをオフィスに準備しておいて、出産前日まで仕事を続けていた。
「上場直後で、力のある人が参画してくれていたし、新しい事業も始まった時期だったのでハイテンションで仕事をしていました」
産後も1カ月で復職を果たす。ところが体がついていかない。
「乳腺炎になって高熱が続き、胸がカチカチに硬くなって。どうしていいかわからなくなりました。体の面から女性であることや子育ての大変さを学ばなければいけなかったんです」
結局4~5カ月間の育児休業を取ることを決意。その間、会社に迷惑をかけるという申し訳なさが生じた一方で、学んだこともたくさんあった。
「今まで主婦の生活を知らなかったんだなと思いました。家事ってやればやるほど質が上がるんです。ママさん友達とも知り合えましたし、生活者の視点から当社のサービスを見直すきっかけにもなりました」
この経験が後にママ社員が働きやすい会社の創設につながる。職住接近のサテライトオフィスで、自分のペースで働けるISパートナーズだ。苦い経験もしっかりビジネスに生かしていく。その点は女性も男性も関係がない経営者の資質である。
Q.好きな言葉
一日一生
Q.趣味
4歳と2歳の子どもの育児
Q.ストレス発散
最近再開したマラソン
Q.愛読書
『生き方』(稲盛和夫著)
アイスタイル 取締役 チーフ クオリティ オフィサー(CQO)
1995年、東京理科大学卒業後、化粧品原料メーカー入社。97年、化粧品メーカーに転職。趣味でスタートさせたメルマガがきっかけで99年、アイスタイルを創業、アットコスメをオープン。出産の経験から、働き方改革にも力を入れる。
撮影=澁谷高晴