石黒さんは、2018年2月に開催された同社の社内競技会「コーヒーアンバサダーカップ」でチャンピオンに輝いた。この大会は、コーヒーの専門的な知識を深め、社内試験に合格したバリスタにのみ与えられる「ブラックエプロン」の頂点を決める年に1度のイベント。同社では社長からサポートセンター(本社)の社員、店舗のアルバイトにいたるまで、職位にかかわらず同社で働く人のことを「パートナー」と呼ぶ。全パートナーの1割程度しかいないブラックエプロンの中でも、全国から予選を勝ち抜いた精鋭が集い、コーヒーのテイスティング技術や、カスタマーサービスの能力を競った。
石黒さんが勤務する東京ミッドタウン店は、“国内最高峰のコーヒー体験”をかなえることをコンセプトにした「スターバックス リザーブバー」を持つ、日本で2軒目の店舗だ。17年5月のオープンにあたっては、全国からブラックエプロンバリスタを公募。選抜された意欲の高いパートナーがそろっている。一番遠方から来たアルバイトのパートナーは、大阪から東京に引っ越してきたというから、コーヒーにかける情熱は皆、並々ならぬものがある。
実は、石黒さんがアンバサダーカップに挑戦したのは3回目。3回目の出場でバリスタのトップの座を勝ち取った裏には、そんな意欲的なパートナーたちと切磋琢磨(せっさたくま)してきた日々があった。
「大会の1カ月半前くらいからトレーニングを始めましたが、『今日もテイスティングができる!』とワクワクして朝起きるぐらい、本当にコーヒーが好き。優勝を狙っていたというより、コーヒーと向き合っていると自然とこうなって。コーヒーをいれること、紹介することで、目の前のお客さまがもっとコーヒーを好きになる。そんな表現ができる仕事がしたいです」
石黒さんの熱い思いが伝わる。