“キャッシュレス決済で税金還付”できれば普及
現在のキャッシュレス決済は、クレジットカード、電子マネー、デビットカードの順で利用が多く、伸び率もクレジットカードが一番高い。だが、VISAなど提携デビットカードを発行する銀行数は、15年末から16年末にかけて、1年で2倍の28行に拡大。一方で、ATMの台数を減らしたいという銀行の思惑もあり、銀行がデビットカードの使用を促すことで、キャッシュレス化が進むかもしれない。
もうひとつの潮流が2次元コードによる決済だ。スマートフォンにユーザー固有の2次元コードを表示し、店舗の端末で読み取り、指定したクレジットカードなどで決済するしくみで、中国の「アリペイ」や「WeChat Pay」が代表格だ。
日本でも今夏、みずほフィナンシャルグループと東邦銀行が、2次元コード決済の実証実験を開始予定だ。日本のメガバンクも2次元コードの読み取りによる銀行口座決済の規格の統一を検討している。これが進めば、消費者はアプリをインストールするだけで銀行口座から直接引き落としできるようになり、キャッシュレス化を加速させる可能性がある。
2次元コードはタブレット端末など安価な手段で読み取れるため、家族経営のような小規模店でも導入しやすく、小売業の活性化につながる見込みもある。
ただ、日本銀行のアンケートによると、現在クレジットカードや電子マネーを使う理由は、「ポイントが貯まる」からという人が多い。キャッシュレス化の進展には“キャッシュレス決済で税金還付”など経済的なメリットのある施策が必要になるだろう。
写真=アフロ