ホテルのアイコンにもなるプール

スポーツ系施設の中でもジムで個性や贅沢感を出すのは難しい。これを表現しやすいのはプールとスパである。特にプールは、それ自体がアイコンとなりホテル全体のイメージ形成に大きく寄与することもあり、近年、ホテルにとって重要な施設になっている。

都市ホテルのプールは、1.運動型、2.リラクゼーション型、3.兼用型の3つのタイプに分けられる。日本では20~30年以上前に建てられたホテルのプールには1も見られたが、近年は2、3の型が多い。いくつか例を見てみよう。

東京では以下のようなホテルが有名である。

○ザ・リッツカールトン東京(屋内)
 最上階近くに位置して浮遊感を感じさせるタイプ。夜景と夜の照明使いが個性的である。
○ペニンシュラ東京(屋内)
 日比谷公園の緑を正面に臨む、景観取り入れ(借景)型のプール
○ホテルニューオータニ(屋外)
 プールサイドを含めかなり広いガーデンプールでパーティー会場にもなる。「ナイトプール」のプロモーションで、近年気を吐いている。

大阪では、コンラッド大阪インターコンチネンタル大阪などが眺めの良い凝った内装の屋内プールを持っている。

アジア全体に目を向けると以下のようなホテルがある。

○マリーナベイ・サンズ(シンガポール)
 アジアでもっとも有名なホテルのプール。最上階57階の10,000平方メートルの「サンズスカイパーク」にある、完全リラクゼーション型屋外プール。強いインパクトのある施設で、ホテルの枠を超えてシンガポールのアイコンの一つになっている。
○シャングリラ・シンガポール
 シャングリラ=桃源郷を体現するようなガーデンプールで、都心部にありながらリゾートホテルのような雰囲気に溢れている。このホテルを有名にした景観の中心のプールである。
○フォーシーズンズ上海浦東
 映画007のロケにも使われた、幻想的雰囲気の屋内プール。J・ボンド愛飲のウォッカマティーニをプールサイドで飲める。
○ザ・リッツカールトン香港
 最上階の118階にある。アジアでは抜群の空中浮遊感が味わえる。悪天候時はおそらく霧に包まれるだろう。

ちなみに、もっとも国際的かつエキサイティングな都市である、ニューヨーク、ロンドン、パリにはプール(屋内)のあるホテルは驚くほど少ない。なぜか。空間コストがあまりにも高額すぎるためである。

(イラスト=富田茜、写真=iStock.com)