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優秀な人をつなぎとめる、7つのヒント

有能な人材が退職してしまう問題を解決するには、次のような打ち手がある。

(1)人事評価制度を抜本的に見直し、フラットな組織に切り替える

終身雇用制度と年功序列を前提とした人事評価制度と昇給・昇格基準を改め、管理という仕事しかできない「課長」や「部長」という職位を見直し、年齢でなく能力に応じて登用するフラットな組織に切り替える。

(2)部下とは成功や問題も共有し、共に評価や問題の解決に取り組む

上司や管理職は、部下が仕事で成功した際には言葉にして賞賛し、問題を抱えている場合にはその内容を共有して、ともに解決に取り組む姿勢を持つようにする。

(3)良い仕事をしたら、その都度、最適な評価を行う

部下が良い仕事をしたら、その都度功績を評価し、言葉だけでなく昇給や昇格による待遇で報いる。部下には定期的にヒヤリングを行い、どのような報酬(昇給と昇格とでは似ているようで違う)を本人が望んでいるのかも把握して対応する。

(4)能力開発の機会を定期的に提供したり、社内講師に起用したりする

仕事ができる人材には、研修に代表される能力開発の機会を定期的に提供し、さらに社内で研修を行う際には、社内講師に起用するなど、社員が自身の成長を感じられる手立てを講じる。

(5)人材採用モデルをつくる

社内で活躍する有能な人材の適性を分析し、同じ適性を持つ人材を採用できるように、自社の人材採用モデルを策定して運用する。

(6)自己管理ができる人材は、プロジェクトリーダーに抜擢する

指示や命令をされなくても、自主的に考えて行動を起こせる人材は、権限を持つプロジェクトリーダーに抜擢して裁量を持たせる。上司は指示命令でなく、フォローに回る。

(7)全方位評価を行い、組織風土の最適化を目指す

上司が部下を評価するだけでなく、部下も上司を評価する「全方位評価」を行い、最適な組織風土を実現するように取り組む。この場合、経営陣や管理職も含めた階層別評価を行う。たとえば、一般社員の意欲が低いのに、管理職層の意欲が高い場合には、管理職のマネージメント方法に問題があると判断して、管理職層への改善策を講じるといった具合だ。

どの企業にも通用する報酬制度や、労使ともに納得する昇格システムなどは存在しない。業種や業態、企業の生い立ちや理念、さらには企業の文化によって左右されるからだ。だからこそ、自社に最適な評価と報酬の制度を構築する必要がある。

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