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ぜひ知っておきたい、ホテル選びのチェックポイント

安全性

耐震・耐火、その延長線上である堅牢さは重要で、これは静かさにつながってくる。その上で、キーのシステムや警備体制などのセキュリティ面での充実がポイントになる。

静かさ

静かさをつくるのは、まずはその建築が堅牢であって、その上で外と内からの防音がきちんとなされていることである。隣室の話声やバスルームの音に滅入ってしまうことがあるが、静かさをアップするには多額のコストを要するので、よいレベルに到達させるのはかなり難しいことなのだ。加えて、大切なのはエアコンである。いつ何時も好みの温度に調整できる集中制御型のもので、冷気・暖気が直接当たらず、上手に回り温度を下降・上昇させるようなシステムが望ましい。こういうものだと、とても静かである。もっとも、相応の金もかかるのである。

冷蔵庫・ミニバーも、ドア付きで格納されていれば、音はさほど気にならなくなる。

バスルーム

前回、ホテルでもっとも大切な「3つのB」を述べたが、そのうち2つ(ベッドとバスルーム)は客室にある(もう一つは朝食)。かねてから、軽視されがちだったのがバスルームだが、今ではリラクゼーションによる快適さを構成する重要要素となっている。バスルームは、安価ホテルのようなユニットだとさびしい。大理石か何かでできた上質なものだとうれしい。タブはある程度深く長く、シャワーは強くてレインシャワーなどのバリエーションがあって、独立しているとなおううれしい。タブ・洗い場一体型のバスでもよい。もちろん、タブには短時間で湯がたまる。こういうタイプは、オーダーメイド型がほとんどで、建てつけるのにやはり高く付く。でも、客がゆっくり入浴して疲れを取るには必要な設備投資であろう。付け加えるに、トイレ部分に仕切りがあり、洗面シンクが深くて2つあると便利だ。

ベッド

近年、ベッドや寝具にもこだわりの目が向けられるようになった。天井が高い客室に似合う高さのあるもので、近年の高身長化に対応する長さと幅を持ち、分散して身体を支える十二分なコイルの数、しっかりとしたある程度の硬さがあるなど、高級なものが望ましい。こういうきちんとしたベッドでないと決して安眠できないはずだ。

トップメーカーはアメリカのシモンズ社、シーリー社だが、ホテルチェーン各社は、先鞭を付けた「ウェスティン・ヘブンリーベッド」とか「ハイアット・グランドベッド」とか、トップメーカーと共同開発的なことをした快適性を強調したベッドでしのぎを削る。

ベッドだけではなく、枕、シーツ(ベッドリネン)類も重要視されており、例えばシーツにおいては織り目のなるべく細かい高級綿のシーツ(手入れが面倒)が用いられる。著名メーカーはイタリアのフレッテ社だ。最高級チェーンのフォーシーズンズ、ザ・リッツカールトン(マリオット系)などは、こうした寝具への気配りにも余念がない。

寝具ほどではないにせよ、備品もそれなりに重要で、冷蔵庫・ミニバーの中身、コーヒーメーカー、クローゼットのハンガーなどなど、高級クラスであれば細心の注意が通常払われている。

快適さを得るには、それなりのコストが必要だ

ハード面に加え、レセプション、コンシェルジュと連携する客室係の質の高さ、そして何よりハウスキーピングのレベルの高い仕事。きちんと“客室の仕上げ”ができているかどうかが肝心である。

かように、ホテルの快適な客室を形成するのは大変なのであるが、享受者としては、こうしたところで適正な価格で快眠できるのであれば、とくにビジネスへの活力として安い買い物と言えるのではないだろうか。

(イラスト=富田茜)