情報発信は手軽になったが責任は軽くならない

さて国民一人一人が情報発信できるようになったことに戻るけど、ネット社会では、情報発信がほんと超簡単にできるようになった。これは大変良いことだ。これまでなら、自分が発信したいことを紙に印刷してそれを街頭で行き交う人に配ったり、新聞の折り込みチラシとして入れたり、各家のポストに投函したり、まあ費用も1回で最低でも数十万円はかかっていた。多くの人への情報発信ってとにかく大変だったよ。

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それがインターネットでは簡単に、そして低コストで、情報発信できるようになった。

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だけど、これだけ便利でお手軽に情報発信できるネットツールであっても、名誉棄損で人を傷つけた場合には、紙で発信した場合と同様に責任を負わされる。これは当たり前だ。被害者にとってはネットであろうが紙であろうが、傷ついた被害は同じだからね。ネットでの情報発信がお手軽になった分、責任までが軽いように感じられているなら危険だ。簡単にできる行為であっても、他人を傷つけたなら重い責任を負わされるのは当然だ。だからこそネットを活用する表現者は、名誉棄損とは何なのかをしっかりと知る必要がある。

まず名誉棄損というものは、「不特定多数に対して、他人の社会的評価を低下させる表現をした」ことをいう。このときの「不特定」「多数」って、10人ほどで十分成り立つんだよね。10人ほどに言えば、その後口伝えでどんどん広まる可能性があるからね。

10人なんて、ネットの世界ではごく少数の感覚じゃないかな。ツイッターでも10人のフォロワーしかいないというと、ちょっと寂しい感じがする。100人、1000人のフォロワーがいるという人は、ざらにいるからね。

だからツイッターの世界では10人のフォロワーというと、物凄く狭い、特定の仲間内での話のような気がするけど、法律上の名誉棄損は、10人相手に情報発信しても十分責任を負わされる。むしろリツイートによる拡散力を考えると、10人のフォロワーに対するツイッター情報発信の方が、これまでの紙や口頭での情報発信よりもきっちりと名誉棄損の責任を問わなければならない。ましてや数万人、数十万人のフォロワーがいる場合には、かなり重い責任を負わさなければならない。

ここ要注意だよ。10人のフォロワーでも名誉棄損の責任を負わされるんだからね。こう見ると、ツイッターのフォロワー数って非常に危険だ。数百、数千、数万人のフォロワーであっても、情報発信することの重みをあまり感じない。しかし紙で考えると、その凄さを実感する。1万枚以上、それこそ10万枚のビラの数って、半端ないよ。段ボールで数箱分なんだから。

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