気づいた人が社会を変える会社
働き方のバリエーションがどんどん増えるフローレンス。その活動を比較的早くから支えてきたのが08年に入社したディレクターの宮崎真理子さんだ。フローレンスに転職してくるまでずっと日本人の働き方に疑問を抱いてきた。
「大学時代に私よりずっと優秀だった友達が会社を次々辞めていく。こんな長時間労働を続けていたら日本がおかしくなると思いました」
自らも小さな子どもを抱えて働いていたある日、フローレンスが中小企業の長時間労働削減の取り組みを始めるという記事に目がひきつけられて、ホームページを見てみた。
「『気づいた人が社会を変えられる』とあって、その言葉に心が打たれました。自分も問題に気づいているのだから、変えられると」
まだ創業3~4年目で社内制度が十分整っていなかった。中小企業に長時間労働の削減をアドバイスするコンサルタントをしながら、人事制度や各種の規定、契約関係の書類などを整備していった。フローレンス内でもストップウォッチを使って、何に時間がとられているかを確認し、会議の時間を削った。同時に権限委譲も進めたが、マネージャーからの抵抗もあった。
「働き方をよくし、自分たちが変わることが日本の社会を変えることだという組織ビジョンをつくり、毎日朝礼で唱和しました」
それによって、権限委譲し、上司がいなくても仕事が進むほうがいいのだという価値観を根付かせた。
宮崎さんが言う、働き方を「よくする」とはどういう意味だろう?
「1日の中でも、人生の長いスパンの中でも、メリハリをつけ、自分で働き方を選択し成果を出していくことが理想です。ライフが充実すれば仕事にもいい影響が出ます。だから組織として働き方を選択できる、いろいろなメニューをつくることが大切なんです」
現在のビジョンは、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」。フローレンスの挑戦はまだ続いている。
撮影=伊藤菜々子