生産性を指標とした評価制度が必要

──働き方改革で、真っ先に残業規制をしたことは評価しますか?

【野村】第1歩としては価値があると思います。企業もこの基準を順守するためにさまざまな施策や工夫が生まれてくるはずなので。

【望月】私は仕事の進め方などを変えないで、ただ労働時間の削減をしてもどこかに無理が出てしまうのではないかと思います。限られた時間と人員の中で、どのように効率的に業務を進めていくのか、生産性を高めていくのかについて、職場全体で考えてみる必要があるのかもしれません。

【野村】私は生産性を指標とした評価制度に変えるべきだと思っています。それと、働く時間も多様性が認められるべきだと思います。単に長時間労働を否定するのではなく、自分を成長させるために長く働きたい、仕事に注力したい時期は長く働いてもいい。一方で家庭を重視したいときは、短時間勤務で働いてもいい。各人の人生のステージにより柔軟に時間を決められるのが理想だと考えます。

【稲木】私は業務や責任の範囲をもっと明確にすべきだと思います。本来どこの部の誰がやるべきなのかわからない曖昧な仕事が多々あります。役割や責任を明確にして効率よく仕事を回していくことが必要なのではないでしょうか。

【野村】結局、仕事量を減らさずにただ労働時間だけ減らそうというのでは実効性がありません。ITを導入して単純な仕事を減らす、バサッと必要のない仕事を切るなど、効率性を追求し国と企業が一体となった施策も必要です。

▼「労働時間の上限規制」に関して

「労働時間の上限規制」について、下記により要望いたしますので、よろしくご配意賜りますよう、切にお願い申し上げます。

(1)もっと思い切ったラインを引くべき
共働き世代だけでなく、働くシニア層も含めた1億総活躍のためにはもっと思い切った線引きが必要です。退社時間が決まっていることで初めて生産性は上がるのです。

(2)働き方にも多様性を!
働く時間に制約がある人もいれば、もっと仕事に注力したい人もいます。一律ではなく、多様な対応が必要です。

以上 第28回 座談会参加者 一同