さて、そうなると自民党でも民進党でもない有権者の受け皿となる勢力の形成は絶望的なのだろうか? 可能性として次の2つが考えられる。

民進党リベラル派が第三極の核に?

1つ目は、共産党の第三極化である。共産党は、それまでの革命政党的なイメージからソフト路線へ転換を図り、反自民票や民進党離れ票を上手に取り込んで、ここ数年の選挙で着実に議席数を増やしてきている。その政策も、共産主義的なものではなく、地域や共同体を守ろうという、本来は自民党が主張すべき保守的なものが中心になってきている。これで名称を「共産党」から「労働党」なり「共同党」といったような名称に変更すれば、指示は一気に拡大する可能性さえある。スウェーデンでは共産党が左翼党と名称を変更し、連立政権入りを果たしている。

しかし、共産党にとって「共産党」という名称がアイデンティティーの一つであり、その変更は共産党の在り方そのものを根本的に変える一大事である。革命の闘士のような古参の党員が数多くいる現状では難しいと考えられ、共産党の躍進もある程度のところで頭打ちとなるだろう。したがって、この可能性は当面は低いと思われる。

2つ目は民進党の分裂による第三極の誕生である。支持率が危険水域に入った安倍内閣が終焉を迎える日はそう遠くはないだろう。ポスト安倍は麻生内閣とも岸田内閣ともいわれている。良くも悪くも安倍1強に対抗することを旗印にまとまっていた民進党、それ以外に明確な軸を打ち出せていない中で好敵手がいなくなれば、一気に求心力を失って遠心力が働き始めるだろう。

そうなれば右(前原、細野ら)、左(旧社会党系)、リベラル系(旧維新系および玉木雄一郎周辺)の3つ程度に分裂する可能性があるように思う。このうちリベラル系が第三極として新たな受け皿になるのではないかと考えられる。要は旧第三極が旧民主党の一部を取り込んで再独立するということで、この可能性が一番高いのではないか。

政治への諦めを期待に変えさせることができるか、特に野党にとっては正念場である。

室伏謙一(むろふし・けんいち)
政策コンサルタント。1972年生まれ、国際基督教大学(ICU)教養学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修了(法学修士)。1998年総務庁(当時、現総務省)入庁。その後、三井物産戦略研究所、衆議院議員政策担当秘書を経て、2014年より政策コンサルタントとして活動。政財官での実績を生かし、国会議員、地方議員の政策アドヴァイザーや民間企業向けの政策の企画・立案の支援、政治・政策関連の執筆活動等に従事。
(写真=つのだよしお/アフロ)
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