役員の補佐を体験! 経営の仕事を目の当たりに

さらに上を目指す人のために、11年から導入された、幹部候補育成のためのプログラム「役員補佐」制度。社長を含めた5人の役員それぞれの補佐に、男女1人ずつが就く仕組みである。

役員補佐の仕事は大きく2つ。ひとつは役員のサポート。会議資料を読み込み、役員にポイントを伝えたり、会議後のフォローをしたりする。もうひとつは役員と行動を共にすること。それにより会社の経営基盤を学ぶことが求められるのだ。

auの人気CM、桃太郎・金太郎・浦島太郎の「三太郎」を手がけたコミュニケーション本部・宣伝部長の矢野絹子さんは、社長補佐第1期生で、1年半の任期を務めた。矢野さんは当時をこう振り返る。

「就任当初は、1期生ということもあり、何をしたらいいのかわからず混乱ばかりでした。次第に慣れ、経営に近い場所で全社を見回してみたときに、これまで自分は会社のなかの、ある一部分の仕事だけをこなしていたことに気付いたんです。視野の狭さを知ったと同時に、会社の大きさを痛感しました。考えるにせよ、判断するにせよ、視点を高くしようと思いました。また、組織を統括することの難しさ、組織をマネジメントするには強い思いが必要なのだということ。社長補佐の経験は、現在の宣伝の仕事にも大きく役立っています」

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ここ数年で、会社側も女性の意識も大きく変化したKDDI。今後は女性が長く働ける環境を整え、意思決定の場にも女性を増やしていく方針だ。

「私自身はトップバッターだとは思っていません。道を切り拓く女性たちがいて、先輩の方々が道をつくってくれたからこそ、今の女性活躍があると思っています」

矢野さんは力強くそう言った。

撮影=冨田寿一郎