公務員の給与はいったいどれくらいが適正なのか。仕組み上、その金額は民間企業に準拠している。しかし、「安定した職業だから、民間より安くていい」という指摘もある。プレジデントオンラインでは、国の調査をもとに「地方公務員年収ランキング」を作成した。前回の「ワースト500」(http://president.jp/articles/-/22151)には大きな反響があった。第2回は「トップ500」。ぜひご覧いただきたい。

自分が暮らす自治体の公務員がどの程度の給与をもらっているのか。その事実は、間違いなく納税者にとって大きな関心ごとだろう。前回は「ワースト500」だったが、今回は給与の高い市区町村の「トップ500」を紹介していく。

プレジデントオンラインでは、今回、総務省が発表した2016年(平成28年)の「地方公務員給与実態調査」に基づいて、自治体ごとの平均年収を推計した。対象は「一般行政職」で、諸手当(寒冷地手当を除く)を含む平均給与月額(4月分)に、期末手当と勤勉手当を加えて算出した。なお、一般行政職とは、教育職や警官といった専門職ではない、いわゆる役所で勤務する公務員を指す言葉だ。

「トップ3」を九州の自治体が独占

第2回は、全国市区町村(1722自治体)の「トップ500」をお届けする。大きな特徴は「トップ3」を九州の3自治体が占めた点だろう。

1位の大分県竹田市は県南西部に位置する山に囲まれた自然豊かな土地。宮崎県と熊本県に接し、人口は約2万人。少子高齢化が進んでおり、高齢化率は42.3%(2014年大分県発表)と全国的にも突出して高い水準にある。そんな竹田市は、過去の「地方公務員給与実態調査」で上位常連の自治体ではなかった。それなのに、なぜ2016年は第1位になったのか? 竹田市役所に問い合わせたところ、「16年4月に発生した熊本地震に際して、全庁体制で昼夜を問わず対応に当たったため、諸手当が大きく跳ね上がったものと思います」(竹田市役所・総務課)との回答だった。

同じく熊本地震で被災した2位の熊本県八代市、3位の熊本県菊陽町も、同様の理由であると推測できる。その中でも竹田市が1位となった理由については、「もともと職員の年齢構成が比較的高いため、やや高めになったのではないか」(同)という分析だった。

地方公務員の給与は、業務内容の複雑さや責任の度合いに応じた職務の「級」と、それをさらに経験年数で細分化した「号級」の組み合わせで決定される。級の上昇が昇格、号級の上昇が昇給にあたり、勤続年数の長い職員が多いほど、平均年収は上昇する。

なお、ランキングの右端には「ラスパイレス指数」を記した。これは国家公務員を100とした場合の、各自治体の給与水準を示すものだ。2012年以前は全国市区町村の平均値が100を上回り、地方が国より高い状態が続いていたが、東日本大震災の復興財源を目的に国からの給与削減要請があったことから、年々低下。2016年は全国平均で98.1ポイントで、国よりも低い状態となっている。