突然の心臓病で2度死にかけた
これで完全に出世コースに乗ったのか、課長、次長、室長、部長と女性の同期の中で一番に駆け上がっていく。非の打ちどころのない人とはこういう人なのか。
ところが思わぬ危機が訪れた。12年、再保険部長のとき、突然の心臓病に襲われたのだ。株主総会当日、会場の様子を見ていた。「朝からちょっとふらっとするな」と思っていたが、立っても座ってもふらつく。さすがにおかしいと感じ、早退してホームドクターのところに。
「『これはやばいかもしれない。大きな病院じゃないとダメだ』と言われ、紹介状を書いてもらって総合病院に行きました」
その日は検査だけ終え、翌朝再来院すると「ここでも治療できない」とさらに別の病院へ緊急搬送。ところが救急車に乗った途端、心臓がドクンと一度鳴ったのを最後に止まった。
「『急変です。いったん戻ります』と聞こえ、『あらら』と思ったのを最後に意識がなくなりました」
応急処置をし、再び救急車に乗せられて横浜市立大学附属市民総合医療センターに運ばれた。人工心肺をつけられ、目を覚ましたのは2週間後だった。
「その間に、2度危篤になったと聞かされました。親も『会わせたい人はいますか』と言われたそうです。治療しても生死が五分五分でしたから」
近藤さんがかかったのは劇症型心筋炎だった。
「私の場合、血液の中にある好酸球が心臓を攻撃したのだそうです。原因はわかっていません」
結局5週間入院し、4週間自宅療養することになった。
「この病気は心臓移植が必要になったり、後遺症が残ってペースメーカーをつけたりする場合もありますが、私は運よく完治しました。もともとバカみたいに元気ですから(笑)」
これだけの大病を経験しながら人生観はよりポジティブに。
「病気になる前から、周りの人たちによく『明日は命があるかもわからないからポジティブにいこうよ』と言ってましたけど、今も本当にそのとおりだと思っているんですよ」
どんな状況でも自然体でいられることが、人生においても仕事においてもプラスに働くのだろう。
■Q&A
■好きなことば
無為自然(無理したくないし、どんなときも自然体でいることを心掛けているので)
■趣味
歩く、走る
■ストレス発散
カラオケ、数字パズル
■愛読書
藤沢周平など市井ものの時代小説
澁谷高晴=撮影