もしもがんの当事者になってしまったら、仕事はどうする? 職場にはどう伝える? 37歳で乳がん患者となったキャンサー・ソリューションズ代表の桜井なおみさんが、がんに負けない働き方を指南します。
「職場健診の当日にぽっかり時間が空いたので、がん検診を受けたの」という桜井なおみさん。
ところが予想もしなかった「要精密検査」の結果が。2次検査の超音波検査、細胞診(※)を経て「乳がん」の診断が下りたのは暑い夏の盛りでした。
※細胞診(さいぼうしん)/しこりに細い注射針を刺して吸引した細胞を顕微鏡で詳しく調べる検査。良性のしこりか、悪性腫瘍(がん)かを判定します。
当時、桜井さんは37歳。設計事務所のチーフデザイナーとして膨大な仕事量をこなしていました。確定診断からの1カ月は、引き継ぎや取引先への挨拶回りに忙殺され、手術予定日を1週間延ばしてもらうほどでした。
「今考えると、本人が取引先に説明に行く必要はありませんでしたね。自分が信頼している人間に引き継ぐので、大丈夫ですというメールを送るだけでもよかった」
休職前、取引先に挨拶に行くと、「どうしたの」「がんで」「何がん?」「乳がん」という流れになります。
「土木・建設業界は圧倒的に男性が多いのです。休職期間を終えて復帰後に挨拶に行くと、胸元に視線がきているような気がしてすごく嫌でした」