配慮が欲しい人にだけ伝える
編集部が実施したアンケート結果では「がんになっても職場(取引先)には言わない」という女性が各年代で約6割に達しました。
アンケート協力=NTTコム オンライン(25~45歳の仕事をもつ女性1070人が回答。調査期間は2015年4月24日~27日)
「でも、患者さんからは『職場に理解してもらえない』という声もよく聞きますよね。黙っているのに理解してほしいというのは、相手に酷ですよ」
病名はやたらと公表しなくてよい。自分が必要とする配慮を、配慮してほしい人にだけ伝えればよいのです。
「取引先には有休の時期、通院日と会議が重なったときの対応などを伝えれば十分です。上司には仕事量や内容への希望を伝えるけれど、隣の席の人には『香水の香りに敏感になっちゃったから、控えてもらえると助かる』など内容を使い分けること。そして『半年経ったら営業にも行けます』などの見通しを伝えることがすごく大事です」
ただし、第三者に見通しを伝えるには、自分の治療の内容とスケジュール、たとえば抗がん剤の副作用は何カ月後には落ち着く、定期検査の外来通院は何カ月ごとなど――を把握していることが必須。辛いかもしれませんが、医師に詳しく説明してもらいましょう。
桜井流・伝えるの三原則は、
1:裁量権を持っている人に
2:欲しい配慮を
3:見通しとあわせて伝える
プラス「相手のメリットにもなる」情報を出すようにする。
「辛さだけを伝えると相手はネガティブに捉えますよね。対応にも困っちゃう。プラスアルファを添えてポジティブメッセージにしましょう。腕がむくんで重い荷物が持てないときは『持てない』で止めないで『片側を持って~』って。そして『ありがとう!! 助かりました』の一言を添えれば前向きなポジティブコミュニケーションです」