何を捨てるかではなく、割合で考える

――仕事と家庭を両立するとなったときに、どちらかを捨てなければいけないシーンもあったかと思います。何を捨てて、どう折り合いをつけたかをお聞きしたいです。

【河崎】私はスタートが専業主婦なので、自分なりに専業主婦の方に足を置きながらっていうやり方ができちゃったんです。それはたまたまの条件だったんですけど。『女の生き様は顔に出る』にも書きましたが、クェンティン・ブライスというオーストラリアの女性政治家の「女性はすべてを手に入れることができる。ただ、すべてを同時にとはいかないだけだ」という言葉がずっと心にあるんです。

そのときに一番手がかかることにフォーカスする。子育ての負担が縮小していったら、他のことを増やすやり方。何を捨てるかというよりも、常に割合で考えていたかなと思います。

河崎環『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)

【川崎】私の場合は会社を経営している自分がドーンといました。お金を集めたり社員を雇ったりしているので、その責任がある。仕事ありきの人生だったので、それ以外のことは、金でもなんでも使って対処しようと思っていました。たとえばファッションを勉強する時間もウィンドウショッピングする時間もないから、店先にレイアウトされたものをそのまま買う。金で時短。ベンチャー界の中で生き残り競争があったし、仕事以外のことはつじつま合わせでやってきて、出産する前日まで働いて、産んで3週間後に復帰して。

でも、自分のやり方と同じように働けって他の人に言うのは無謀な話ですよね。実際、今は無理しないでも大丈夫な会社も増えている。だからその企業にどんな制度があって、本当に活用されているのか、出世している女性が本当にいるのか。その辺は調べられる状況があるので、どんどんアンテナを張ってほしいと思います。

いろんな人のいろんな選択肢を見てほしい。今、いろんな選択をしてきた我々おばちゃん世代が声を上げ始めているところなので、そのいいとこどり。ここは吉岡さんのとか、ここは小室さん(※ワーク・ライフバランス代表取締役の小室淑恵氏)のとかで、つぎはぎだらけのモデルケースを作ればいい。そこの情報収集をさぼってはダメ。自分の人生なので。