男性も女性も「降りられる」ことが大事

【田中】女性が出世競争でやる気を出しても、いい職業のポストの数は増えないんです。でも、女性にはどんどん参画してほしい。男性はポストを狙ってないのに「狙わされる」部分がある。実際には、競争に勝ってポストを得ることに興味がない僕のような人もいるのに、男性だというだけで自動的にそういうレースに参加しなければいけない。僕は向いている人が競争すればいいと思うんです。女性がポスト競争に参加して、男性が競争から降りられるならラッキーですよ。

【常見】「降りられる」ということはすごく大事な観点。ずっと上を目指さなければいけない、ずっと給料を上げなくてはいけないというサラリーマンの世界は駄目なんです。大企業には、“大卒の正社員として働いていても年収は600万円が上限、その代わり午後6時に必ず帰れる”とか、そういう仕事があったほうがいい。

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座談会は、東京・下北沢にあるビールが飲める書店「本屋 B&B」で行われた。

【田中】40代の話に戻すと、こういう判断がつくようになる年でもあるんです。若いときはまわりに煽られるけど、40になったら自分が欲しいものがそろそろわかる。

【河崎】女性だって降りることも上ることもできる。

【常見】人はどこで狂い咲くかわからないから「何歳でどこまで出世しないとお払い箱」という世界はおかしい。人生は上がったり下がったりの繰り返しなんだから、40代で焦る必要はありません。

【おおた】『女子の生き様は顔に出る』にも「女性はいっぺんに手に入れられないだけなんだ」という項目がありましたね(参考記事:子どもを産まなかったことは「一生の不覚」? )。

【河崎】男性もそうなんです。人生80年あるんだから、いっぺんに手に入らなくてもいい。

【おおた】20代、30代の頃は女の子にモテたいし、いい車にも乗りたいし、仕事でも活躍したいし……と考えがちですけど、40代になるとだんだん優先順位ができてくる。

【常見】「今年はモテる年」「今年は働く年」とか決められるのがいいですね。今、長時間労働は否定されていますが、残業したいときにする自由も否定しちゃいけない。残業することでワークライフバランスが保たれることもありますから。

→「電通、清原、SMAP、乙武――2016年を振り返る~河崎環、おおたとしまさ、田中俊之、常見陽平座談会【後編】」に続く