企業側の意見も一致している。育児や介護と仕事を両立している自社の社員のサポートに早くから力を入れてきた、リコーのダイバーシティ推進グループリーダーの児玉涼子さんによると、休業中の社員に対するサポートとして特に重視しているのが「コミュニケーション」だという。

「一つには上司と定期的に状況を共有するといった職場とのコミュニケーション。もう一つが、不安解消のための“社会”とのコミュニケーションです。例えば、育休中に参加できるプロボノ活動などを紹介すると、参加した社員からは『刺激を受けた』『また仕事を再開するイメージが持てた』とよい反応が返ってきます。もちろん、休業の第一義は自分自身や家族の健康と生活の充実ですが、無理のない範囲で社会と接点を持つ機会をつくるといいと思います」(児玉さん)

リコー コーポレート統括本部 人事統括センター 人事部ダイバーシティ推進 グループリーダー 児玉涼子さん

では、採用側の視点から、ブランクがあっても魅力的に感じるのはどんな人材なのだろうか?

「自身が身につけている経験やスキルに対して客観的な評価をして、強みとして活かせる方。かつ、ブランクという期間そのものを活かして前向きにアピールできる方は企業も興味を持つのではないでしょうか」(児玉さん)

育児など仕事以外の活動に深く関わっていた経験によって得られたインプットやスキルを仕事でも活かせる。そんな“フィードバック力”のある人なら、離職していても、今後は女性の労働力への期待からも採用ニーズは高まっていくと児玉さんは予測する。自身もワーキングマザーとして学校の役員活動などを通じ、様々な学びを得たという経験に基づいている。

「能力の高い女性にいかに活躍してもらうかは、企業にとっても大きな課題です。復職に際して不安なことがあれば何でも率直に伝えて、相互にとって納得のいくスタイルを見つけていく努力が大事だと思います」(児玉さん)

とかく不安を感じがちなブランク女性たちに、茂木さんはエールを送る。

「長い人生の中で、再就職はキャリアを見直すチャンス。40歳でも、あと20年以上。これからどんな仕事を楽しんでいきたいか、じっくり考えて方向を定められる機会だととらえてみてください。前職の経験を大事にしながら、まっさらな気持ちで第2のキャリア人生にこぎ出そう。そんな気持ちがハッピーな再就職を引き寄せると思いますよ」