Q 法改正で、産休後職場復帰するワーママの働く環境が変わるというのは本当でしょうか?
日本の企業社会で女性活躍推進が遅れている背景の1つとして、長年指摘されてきたのが「妊娠・出産を機に仕事を辞める女性」が6割以上にものぼるという現状だ。
「産んだら辞める」がスタンダードになってしまった理由としては、産後も女性が無理なく働き続けられる環境整備の遅れという企業側の努力不足が指摘されてきた。しかし、もう1つの側面として、家庭の中での育児の担い手が女性に偏り過ぎていたという問題も無視できない。
「男は育児より仕事。たとえ共働きだったとしても、育休をとるのは女性だけというのが当たり前」というジョーシキが誰に対しても適用される前提のようになり、産後の“保活”(子どもが通う保育園を探し、限られた枠に入るべく各園・自治体窓口を走り回る活動のこと)や、復職後のハードな両立生活も妻が一身に負担する家庭は多数派であるのが今の日本の現状なのだ。
周りにいるワーキングマザーがゆとりなく多忙を極める空気を振りまいていれば、これから出産を迎える若い女性たちは「あんなに大変そうな生活、私には無理」と諦めたくもなる。
「育児はしっかりしたい」→「でも、夫は頼れないから、やるとしたら妻の私ががんばるしかない」→「1人で仕事と育児の両立は大変そう」→「ならば、私が仕事を辞めるしかない」というロジックで、合理的選択として女性は「産んだら辞める」を選んできたのだと私は思う。
つまり、男性が育児にも参加しやすい環境が整えば、出産を理由に好きな仕事を辞めなければならない女性は減るはずである。