管理職と聞くと、「責任が重くて大変そう」「面倒が増えそう」と身構えてしまう人も多いもの。では、そもそも管理職ってどんな仕事なのだろうか。女性管理職の働き方に詳しいリクルートの森本千賀子さんに、管理職はどう動き、チームや部下をどう導くか、といった「管理職の心得」を伝授していただいた。

管理職になる人物はというと、誰よりもハイパフォーマーで、力強くチームを引っ張る統率型タイプのリーダーと思われがち。しかし、「今ではリーダーの概念は変わってきています。サーバント型と呼ばれ、ビジョンを示したうえで、チームが目標に向かうのを支援するのがリーダーなんです」と森本千賀子さんは話す。

森本千賀子●株式会社リクルートエグゼクティブエージェントエグゼクティブコンサルタント。1993年現リクルートキャリア入社。人材戦略コンサルティング、採用支援全般を手がける。2010年より現職。著書に『メンターBOOKS 女性管理職のFAQ』(朝日新聞出版)等多数。

今求められているリーダーは、「チームの力を足し算ではなく掛け算にする」、つまり、個性を伸ばす、あるいは引き出し、チームの力を最大化するタイプ。部下の調子が悪いときは女性のほうが受け止めるのが得意という傾向にあり、母艦のようになれる力も、管理職に必要な資質だ。

管理職の心得はおおまかに6つにまとめられる。

心得1「自分の目標よりチームの目標を優先する」と心得2「リスクを取って大きな成果を狙う」は仕事に関する考え方の変化について、心得3「チームのビジョンを言葉にして共有する」と心得4「メンバーとは人対人の信頼関係を築く」はチームを成長させるポイント、心得5「メンバー以上に勉強する」と心得6「楽しんでいる背中を見せる」は管理職になった人自身のふるまい方についてまとめられているので、ぜひ参考にしてみてほしい。

 

「何を優先するか」が公私両立のカギ

また、管理職になれば、それまで以上に仕事とプライベートの両立で悩む女性もいるだろう。悩んだときには、「自分にとって一番大事なことは何か、そこがぶれないようにすることも大事です」。

森本さん自身も仕事と家庭の両立で困難なことに直面するのは茶飯事。先日も、セミナー講師の仕事がある日に「ドアに指を挟んでしまった」と子どもからSOSの電話がかかってきたという。そこに駆けつけられる人間は自分しかいない。即断即決で、講師の代役を立てて乗り切った。「大切なのは瞬時に優先順位を判断すること。迷っている時間が長いとそれだけ周囲にも迷惑がかかる」。さらに森本さんは、「犠牲にしたものについて、いちいち後悔しないこと」と続ける。リカバーできるように次の仕事に邁進(まいしん)すれば誰にとってもよい結果になるからだ。