「女性活躍」はむしろしんどかった女性たち
2012年末、安倍政権がはじめに“女性活躍”を掲げた頃のことだ。
取材をしていると、女性社員比率がそれなりに高い企業でも、ワーキングマザーたちはしんどうそうだった。女性比率がそれなりに高い企業でこそ、かもしれない。
独身あるいは子供のいない女性が昇進しており「男女の問題ではなく個々人の能力の問題」とみなされる。また、子どもがいてもベビーシッターや実家のサポートを得て長時間働くスーパーマザーたちもいる。そうしたデキる人を“ロールモデル”として提示されても、その他大勢の女性社員の本音は「とても真似できるとは思えない」だった。
とりわけ若手が多い、大半の社員がガンガン長時間仕事をしているといった新興企業や外資企業などでは、男女問わず成果が問われ続ける。制度が整っても「前例」がいても、仕事と子育ての両立を絶望的に感じる若手女子も少なくなかった。
そこに、女性活躍の波がやってきた。女性たちから「これ以上、どれだけしんどい思いをしたらいいのか」という悲鳴があがったのも無理はない。
女性活躍について先進的に進めてきた企業のひとつ、リクルートグループも例外ではなかった。女性が多いとはいえ、当時若いワーキングマザーたちは大きなジレンマを抱えていた。