「だって」とすぐ言い訳する。「私の仕事じゃありません」と仕事を断る。集団で攻撃してくる……。女性部下は扱いにくい、と思われたらもうNG。そうならずにオトコ上司とうまくやっていく秘策を、直接教えてもらいました。
広報系(30代)約10人の部下のうち、男女比は半々程度。年上女性部下を抱えた経験も持つ。
営業系(30代)約30人の部下のうち、女性は10人程度。部署全体が残業は当たり前の忙しさ。
人事系(40代)社内の8割を女性が占めるが、女性管理職はまだ少ないのが目下の悩み。

【営業】2015年ぐらいから会社のトップから、女性を引き上げろという指示が現場にも伝わってきています。でも管理職をやりたい女性はまだまだ少ないし、マネジャーの私の下に係長クラスのグループリーダーが5人いるけど女性は1人しかいない。引き上げていきたい気持ちはあるけど、4人の男性と競争させて彼女だけを引き上げるのは正直言って、相当厳しいね。

 

【広報】うちも全社的に女性の管理職を増やそうという雰囲気が年々強まっています。すでに役員、部長の女性もいるし、この数年で一挙に増えました。30代の女性でグループ会社の部長になった人もいるけど、部下のほとんどが年上男性なので逆に苦労しているかもしれないなと思うことはあります。

【営業】そう。マネジャーとして仕事を回していけるかとなると、若い女性の場合、今のスキルでは苦労することが目に見えている人もいます。そうならないように教えていかないと。

【人事】女性を引き上げるために私たち人事としてもいろんな仕掛けをしています。一つは全国の支店を回って幹部と女性の育成プランを話し合う場があるけど、そこで部門長に突っ込まれたことがある。「女性の数が少ないんだから、とうてい会社の目標なんか達成できないだろう。だったら多少女性にゲタを履かせてでも管理職の手前まで引き上げて責任を担わせてみたらいいじゃないか。やらせて何とかするのはここにいるマネジャーの責任だろ。やらせてみたらできませんでしたという結論はなしだ。人事は本気でそこまでやる気があるのか」と。確かにゲタを履かせて上げる以上、それをフォローする体制も必要なんですよね。部門長に覚悟を問われて、言葉に詰まった。

 

【広報】すごいね。実は上から、次は上げろと言われている女性がいるんだけど、ぶっちゃけて言うと、リーダーシップなど管理職としてのスキルがあまりないんですよ。僕より年上なので教えるのはおこがましいし、彼女の気持ちも考えて試験的に20代の男性社員の教育係をやらせてみた。ところがコーチングがあまり上手ではなく、下についた男性社員が悩んじゃって。飲みに誘っても「あの人が一緒に行くんだったら、行きたくない」と言い出す始末。

【人事】そういう人って危ないよね。管理職になりたいという意欲はあるんだけど、言語化するとか体系的に話したりするマネジメント力が伴っていない。その場合の解決策は部下をつけず肩書だけのマネジャーにするしかない。