投資するなら10年単位の大きな波に乗ろう

「私も投資してもっとお金を増やしたい!」

そんな人も多いと思います。でも、「投資すればすぐにお金が何割も増える」なんて思っていませんか? そんな投資はただのギャンブル。投資こそ、10年単位で考えてほしいのです。

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図(1)日経平均株価の動き(過去1年、週末ベース)/図(2)日経平均株価の動き(過去10年、月末ベース)

まずは、図(1)を見てください。これは、日本の株価を代表する日経平均株価のグラフです。ジグザグしながら、いったん下がったものの、ちょっと持ち直しているみたい――そんな印象を持ちませんか?

次に、図(2)を見てみましょう。こちらも同じ日経平均株価のグラフです。こちらは、やはりジグザグしながらやっと上昇したものの、力尽きて下がり始めた――という印象です。

同じ日経平均株価のグラフなのに、なぜこんなに違うのでしょうか? 実は、図(1)は最近の1年間の動きを表したもの、図(2)は10年間の動きを表したものです。期間が違うだけで、印象はまったく違います。相場は、小さな波を繰り返しながら、5年、10年といった長い期間で大きな波をつくります。そして、そうした大きな波を繰り返す習性があります。

日経平均株価の大きな波を見ると、2007年の高値からいったん大きく下がり、約7年かけて、やっと前の水準に戻りました。2007年の前の高値は2000年で、戻るまでにはやはり7年かかっています。それぞれの企業の株価も、こうした市場全体の動きの影響を逃れることはできません。なお、日経平均株価だけでなく、円/ドルレートも、同じように大きな波を描いて推移しています。

プロの投資家やデイトレーダーといった人たちは、相場の小さな波を探しながら、絶え間なく売買を繰り返しています。でも、普通に生活する私たちにそんなことはできません。それより、5年~10年かけて上下する相場の大きな波を利用しましょう。大きな波が下がったときに買って、上昇するまでゆっくり待ってから売る方法がお勧めです。そして売った後は、十分に下がるまで投資はお休み。そんなノンビリした投資法が、私たち素人には向いていると思います。

こうした大きな相場の波は、期間10年以上のグラフでないと確認することができません。でも、一般に目にする株価や為替のグラフは、たいてい長くて1年程度、短ければたった1日の動きだったりします。そうしたグラフだけ見て判断せずに、長期間のグラフをチェックすることが大切。たとえばYahoo!ファイナンスでは、最大10年のグラフを見ることができます。

10年なんてあっという間――これは私の実感です。みなさんが10年後、心も財布も豊かでありますように!

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。