自分の意思で角を曲がれる時期は、それほど長くない
かつてよりも選択肢がある時代になり、皆さんは自由にワークスタイルが選べるようになりました。それこそ、2世代くらい前の人から見れば、隔世の感があるでしょう。しかし、自由になったはずなのに、それを謳歌(おうか)し、働き方を選べるメリットを享受している、と感じられているでしょうか。改めてそう問われると「微妙だ」と答える人は多いかもしれません。
選択肢が多くなった分、選ばなければならない。この角は曲がってもいいのか、曲がってはいけないのか? それを自分の意思で決めなければならなくなったのです。それって意外に面倒なことだし、責任も負わなくてはならなくなります。
仕事を始めた頃には、青臭いかもしれないけれど「可能性は無限大だ」と思っていたのに、だんだんと自分の限界が分かってきた。周囲を見渡しても、一緒だと思っていたのに、徐々に差が付いている。できることは決まっていて、やりたいことはできそうにない。しかし角が見えてきて、そこを曲がるべきかどうか、自らに決断を迫ってくる。
「誰かが決めてくれればいいのに」……そんな風に思ったとしても、不思議ではありません。ただ、そんなため息交じりの愚痴は、いずれ必要なくなるかもしれません。いまは選択肢が複数あり、自らの意思でその選ぶ作業が必要な部分もたくさんありますが、徐々に曲がり角は少なくなってきます。そして、自分の意思だけでは選べなくなってきます。
例えば、両親の介護が必要になり、やむなく退職する。自分自身が大きな病気になり、結果として違うキャリアを選択せざるをえなくなる。勤めている企業のビジネスモデルに寿命が訪れ、仕事自体がなくなってしまう……。
自分の意思ではどうすることもできない選択肢は、もちろんネガティブなものばかりではないでしょうが、多くの場合、自ら進んで選ぶことはないと思われる「曲がり角」が、これからみなさんの前に現れます。自分の意思で角を曲がれる時期はそう長くはないのです。