曲がり角を上手に曲がる、または失敗しないで曲がるためには
さて、冒頭の質問に戻ります。キャリアの曲がり角に差し掛かっているみなさんは、どうすればいいのか?
まずは、先送りしない習慣を付けること。これが、とても重要なことになってくるはずです。曲がり角は何度もやってくるからと、安易に見過ごしてはダメ。いずれ自分には選択権がない曲がり角がやってくると書きましたが、そうなる前に先手を打つべきです。角が見えてきた、あるいはその気配を感じたら、立ち止まって考えることから始めるべきでしょう。
次に自分の持っている能力を常に把握しておくこと。能力とは、別にスキルに限ったことではありません。資産もそうですし(一念発起して起業したいと考えたなら、素敵なアイデアや画期的なビジネスモデルと同じくらいお金は大切)、人脈だって立派な能力の一つです。いま、この角を曲がって、うまくいくだけの能力を自分は持っているのか、もしくは、真っ直ぐ進んだとして、自分が所有している能力で戦っていくことができるのか。その判断を誤りのないものにするためには、自分のことを自分自身が理解しておくことが何より大切なのです。
最後に、角を曲がるか曲がらないかを決断するための、自分の判断基準を決めておく。これを決めることで、もしも曲がったことで自分のキャリアにマイナスが生じても、自分が決めたことだからと、多少は(微々たるものですが)ショックを和らげることができます。逆に誰かに流されて決めてしまった失敗は……すべてを言わなくても、もうお分かりですよね。
このコラムは今回で終了です。筆者である私にとってもこの機会は、角を1つ曲がるということになるのでしょうか。いつかどこかでバッタリ、皆さんに会えることを楽しみにしています。ご愛読、ありがとうございました。
就職や転職、若手社会人のキャリア開発などの各種サービスやウェブサイトのプロデュース、ディレクションを、数多く&幅広く手がけている。直近は、企業の人事が持つ様々なデータと個人のスキルデータを掛け合わせることにより、その組織が持つ特性や、求める人物像を可視化、最適な配置や育成が可能になるサービスを作っている。リクルートワークス研究所『「2025年の働く」予測』プロジェクトメンバー。著書に『就職のオキテ』『会社のオキテ』(以上、翔泳社)。「人が辞めない」という視点における寄稿記事や登壇も多数。