最も長期で安定して成長する経済は“世界全体”

以上の5条件をすべて満たす商品を地道に絞り込んでいけば、世の中に6千本近くある公募投資信託の中から数十本程度までスクリーニングできるはずです。その中からさらに、自分に合った運用方針で長期投資を信頼して任せられる運用会社を見つけ出してください。

さて、いよいよファイナルです。お金をどこに働きに出すべきか。長期投資でお金が育つ養分の源泉は「成長」であると、繰り返しお伝えしてきました。

私の考える、最も長期で安定した成長軌道を有している経済とは、“世界全体”です。人類は歴史上たゆまず未来に向けて進歩・発展への努力を続けています。そして21世紀に入り、世界経済が1つになって成長するグローバリゼーション構造へと移っています。地球の人口は、現在の73億人から2050年には96億人へと人口が拡大し続ける中で、地球上に豊かな生活を求める人たちも増え続けることでしょう。

そうした地球経済全体の、「長期で安定した成長軌道」という大河の流れに、私たちのお金を働きに出して育てていくのが何より合理的だと考えます。この合理性を前提にした、長期投資のアプローチ手法が「国際分散投資」なのです。

世界中にお金を分散して、時間を掛けてツミタテでコツコツと働きに出す――そんな思いをかなえる投資信託を今回の“5条件”で探し、前回の“3原則”で運用することで、知的でエレガントな長期投資家になってください。

※今回で連載「知的でエレガントなお金の育て方、教えます」は最終回となります。ありがとうございました。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長。1987年明治大学商学部卒業後、現在の株式会社クレディセゾン入社。セゾングループで投資顧問事業を立ち上げ、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、株式会社クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年に株式会社セゾン投信を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現し、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。セゾン文化財団理事。NPO法人元気な日本をつくる会理事。著書に『投資信託はこうして買いなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)など。