役員の内示にはその場で「YES」

15年2月、一谷昇一郎社長に呼ばれた。「最近はどうですか」といった世間話をした後、「4月から執行役員に就いてもらいます」といきなり切り出された。チームリーダーとして3年目、ようやく新しい仕事に慣れてきたところへ、思いがけない内示だった。

驚いて、「何か、お間違えではないですか」ととっさに口を突いて出た前原さん。でもその場で決意した。ただし内示があってから4月までは気持ちが揺れ動いた。女性の役員はすでに4人出ているが、支社の現場が長かった人は初めてだ。役の重さと支社のメンバーの期待との間で心が行き来する。

【写真上】オフィス・マネージャー第1号のうちの一人に。社長から辞令を受け取る【写真中】オフィス・マネージャー1期生と九州旅行【写真下】本社に異動し、複数のオフィス・マネージャーを統括

「今まで一回も上を目指して仕事をしたことはありません。与えられた場所でベストを尽くすことだけを考えてきました。執行役員もその結果であれば、自信はなくても一歩踏み出すことで道が開けるのではないかと踏ん切りました」

小中高とバレーボール部に所属した体育会系ゆえだろうか。スパイクされたボールに、一歩踏み込んでレシーブする学生時代の姿が浮かぶのだ。

■前原さんの経歴

1987年(20歳)全国信用不動産入社
1991年(24歳)プルデンシャル生命保険入社(転職)
1995年(28歳)広島支社オフィス・マネージャー
1997年(30歳)広島中央支社オフィス・マネージャー
2002年(35歳)広島支社オフィス・マネージャー(120人の大所帯で、業務量も増える)
2005年(38歳)熊本支社オフィス・マネージャー(はじめて、広島を出る)
2009年(42歳)首都圏第二支社オフィス・マネージャー
2012年(45歳)本社に異動
2013年(46歳)支社スタッフコンサルタントチーム チームリーダー(オフィス・マネージャー出身で初の執行役員となる)
2015年(48歳)執行役員(支社に勤務する人材の採用・育成を担当)

■Q&A

 ■好きなことば 
与えられた場所でベストを尽くす

 ■趣味 
旅、温泉

 ■ストレス発散 
散歩、ジョギング

 ■愛読書 
ビジネス書全般。最近は『エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」』に感銘を受ける

前原弥生
プルデンシャル生命保険 執行役員。1967年広島県出身。87年比治山女子短期大学を卒業後、全国信用不動産入社。91年プルデンシャル生命保険に転じ、広島、熊本、東京の各支社でオフィス・マネージャーを歴任。2012年より本社にて勤務。15年執行役員に就任。

撮影=澁谷高晴