「やりたいことを実現するため」という学びの指針もある

ここまでは今の会社にいて、ポジションをアップしていくという前提で、そのために必要な能力を身につける方法を書いてきました。しかし「そうじゃない、自分はもっと別にやりたいことがある」と考えている読者もたくさんいるでしょう。例えば、独立して起業したいとか、今までの延長線上にない仕事で身を立てたいとか、そういう感じでしょうか。そういう場合でも、学びの方法は基本的には同じです。

やりたいこと、就きたい仕事、起こしたい事業……それぞれに求められる能力は違っていますが、逆にいうと、何らかの能力を必要とされるのも事実です。「必要とされる能力を身に付けるために勉強する」というシンプルな構造は変わりません。ただし、その能力を可視化すること、さらには、身につけるための良い学習法を見つけ出すのが難しいことも事実なのですが。それでも、それを丁寧に整理して、慎重に考えて学ぶことは、みなさんの成長に大きく寄与するはずです。

漠然とした焦りのせいで見当違いの努力をして、結果的に時間とお金を無駄にしたということがないよう、くれぐれも気をつけて。

サカタカツミ/クリエイティブディレクター
就職や転職、若手社会人のキャリア開発などの各種サービスやウェブサイトのプロデュース、ディレクションを、数多く&幅広く手がけている。直近は、企業の人事が持つ様々なデータと個人のスキルデータを掛け合わせることにより、その組織が持つ特性や、求める人物像を可視化、最適な配置や育成が可能になるサービスを作っている。リクルートワークス研究所『「2025年の働く」予測』プロジェクトメンバー。著書に『就職のオキテ』『会社のオキテ』(以上、翔泳社)。「人が辞めない」という視点における寄稿記事や登壇も多数。