仕事に必要とされる能力を理解していない上司は困りもの

入社して間もない、若手と呼ばれる年齢ならば、仕事そのものがまだよく分かっていませんから、まずはその仕事を覚えることが勉強です。仕事を覚えていく途中で、その仕事にとって必要だと思われる能力に気づき、自分にそれが備わっていないとしたら、身に付ける勉強をするというのがごく一般的な流れ。

ちょっと先走ってしまい、いきなり経営のことをびっしりと学ぶ、という人も少なくありませんが、それはご愛嬌。

逆に言うと、この時期に「仕事に必要な能力を理解し、勉強をする」というプロセスを経ていない人の多くは、冒頭で紹介したような「何か勉強しなければならない、でも、何をしていいのか分からない」状態になってしまいがちです。

さらに厄介なのは、この手の人が先輩や上司になったときです。後輩や部下が仕事で頭打ちになってしまった場合に、上手く打開策を提示できないことが多いのです。仕事に必要な能力を理解し、それを身に付けるために何をすればいいのかと自分で考えたことがない人が、頭打ちになっている人を指導できないことは、容易に想像がつきます。

分からないから「頑張れ」と意味のない励ましをする、という程度ならまだしも、「そういうことは自分で考えろ」と、さも自分は答えを知っているかのように振る舞ったり、どこかのビジネス誌で読んだ知識を受け売りして、若手を混乱に陥れる、という惨事もしばしば見かけます。

いまからでも間に合う「ビジネスパーソンの正しい勉強法」

「そんなことを言われても困る。何か良い勉強法を教えてくれ」とお叱りの声が聞こえてきそうです。大丈夫です、まだ間に合います。

上述の通り、ビジネスパーソンが「仕事に役立つ」勉強をするために重要なことは、仕事を十分に理解すること。なんだか禅問答みたいになってしまいましたが、結果的にこれが一番早道なのです。

まずは、自分の今の仕事に求められる能力を整理してみましょう。紙とペンを用意して、書き出してみるといいでしょう。次にそれを「経験によって得ることができる」ものと「知識によって身につけられる」ものとに分けていきます。前者は日々仕事に取り組むことで身につく能力なので、基本的には勉強で補うことはできません。逆に、後者は勉強すれば即、身につく能力。ですからまずはここから勉強をすべきなのです。時間に余裕があれば、過去の仕事も整理してみるといいでしょう。

後輩や部下の仕事も同じように整理しておくと、彼らがどこに行き詰まりを感じていて、何が頭打ちの原因になっているのかがクリアになるはずです。それが分かれば、今までよりもより正確にアドバイスができるようになります。

さらに、上司たちの仕事ぶりを改めてよく見てみましょう。もちろん、そのポジションについていないので詳細は分からないでしょうが、ある程度の推測はできるはずです。そして、必要そうな能力を把握し、今から準備できそうなものは先に手をつけておく。これが、今後のキャリアを考える上で、とても大事なことになるのです。