お客さまの思いをストーリーに変換! 心に残る動画のプレゼンテーション
「この数年でプレゼン資料の作り方は大きく変わってきました」と話すのは、日本IBMの中村祐子さん。顧客のビジネス上の課題解決や成長をITを使って実現する部門で、主に自動車メーカー向けのコンサルテーションなどを担当している。チームを率いる立場にある中村さんは、時には大型案件の受注を決めるような重要局面でのプレゼンの機会も多い。
「ITソリューションというと、難しいシステム用語を並べた提案説明が一般的でした。しかし、お客さまがそのシステムを入れることで日常的にどんなことが変わるのか、もっと理解してもらうことのほうが重要だと私たちは考えるようになりました。そこで、数年前から動画によるストーリー仕立てのプレゼン形式を取り入れました」
とかくプレゼン資料には情報を詰め込みがちだが、資料の説明に終始するあまり肝心の内容が伝わらないことも多い。本当に伝えたいことが、見た人の心に残るプレゼンにするために日本IBMが3年ほど前から導入しているのが「バリュー・ドリブン・プロポーザル(VDP)」という手法。中村さんは導入当時から研修に参加して積極的に取り入れている。自社のシステムでその人の生活にどのような変化をもたらせるのか、イラストや写真を交えたストーリーを動画でプレゼンする。
「とある中小企業のA社長が、こんなことで悩んでいました……といった顧客の事業に近いストーリーを作ることで、私たちも顧客の悩みをより具体的に理解できます。ストーリー仕立てだと、相手の心にも残りやすく強いプレゼンになるのです」
さらに、提案内容や中長期的な見通しをまとめた図を壁に張り出し、多面的に説明。印象に残りやすい訴求を心がけている。
「プレゼン後に顧客から『おかげで自分たちのビジネスの方向性、やりたいことが整理されてクリアになった』といった反応をもらえることが増えて、これまでより手応えを感じています」